タッ急ビン

本格的にガタがきていた実家をついに建て替える事になった。バンザイ!姉一家が同居しているのだけど、両親が「自分たちが死んだら建て替えてくれ。」と抵抗するので、あちこち修理を繰り返して騙し騙し凌いできた。死ぬ死ぬ言ってから20年は経ってるだろコラー!年寄りには風呂場との気温差が大きいし、夜寝る時など窓が開いているんじゃなかろうかと思うほど寒い。「寝るな。寝たら死ぬぞパンパン(頬を叩く真似)」というのが冬の定番のネタ。雪山か!


調子に乗った鼠に連夜攻め込まれたリビングの家具は破損したままで、床下の腐食と歪みで建具という建具の開閉が悪くなっている。特に脱衣所の引き戸がガッチガチに硬く、横向きにすり抜けられるだけ開けるのにも一苦労。「力を入れ過ぎるとドアが外れるぞ。」と父。言われなくても分かってるって。


手前に引き上げながら、右上へクイッと押すのがコツらしい。引き戸を手前に引き上げるって、カラクリ扉か。手前に引き上げてみたが10cmほど開いた状態から動かない。引いてもダメなら押してみろってね。「ハァァァァァーッ!」ドアが外れて戻すのに四苦八苦している私を見て、父が「ほらな。」と嬉しそう。ほらな、じゃないよ!


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あちこちガムテープだらけ。


ところが、水道管の老朽化で割と大掛かりな工事が必要になると判るや電光石火で建て替えが決定。そんな事ならもっと早く水道管を壊したのに!ダメですか。そうですか。暮れも押し詰まった今週、仮住まいのアパートへ引っ越すため、2泊3日で荷物の片付けに行ってきた。参考までに引っ越し業者への支払いは、前日の箱詰めと当日も延長してもらって30万円。


実家は一見すると物は多くないものの、どの部屋の押入れもテトリスの如く上部までぎっしり詰め込まれていて、出しても出してもまだ出てくる。まさに魔窟。田舎暮らしの年寄りの一軒家にありがちな、使っていない部屋と物置に何でも仕舞い込んでしまう。で、ごく稀にそれが必要になる時があっても、どこに入れたか見つからずに急遽店に買いに行かされる。押入れを占領していた大量の布団と座布団は数年前に処分したので油断してた。


両親には常々モノを減らしていって欲しいと頼んできたけど、「自分たちが死んだら全部捨てていい。」と丸投げ。またそれか!ついに今回「片付ける私たちも年なんだから。」と説得し許可が下りたので、2人が見ていない隙に全体の5分の1くらいは捨てられた。


畑仕事を終えた母がやってきて「皆の衆、やっとるなー。」と上機嫌で去っていった。誰の荷物だよ!熨斗紙も外していない返礼品関連が多く、箱を潰す作業が地味に面倒くさい。毛布の箱の蓋に母親の手書きで"新品シーツ"と書いてあったので、貰って帰ろうと開けてみたら毛布が入っていた。罠か!


無料のポケットティシュだけでダンボール1箱。駅で配れるほど溜めてどうする!物置には通常のものより多く入っている16ロール入りの徳用トイレットペーパーが8つ並べてあった。オイルショックか!どんだけ尻を拭く気だ。未開封の湿布も300枚くらい出てきた。なんだコリャ!「今すぐ貼って。今夜からどんどん使って。」と両親に1袋ずつ手渡したら、私のバッグの側にこっそり置かれてた。いつの間に!


だいたい湯のみ茶碗とか急須とか何セットも揃えてある不思議。電気ポットは未使用のもの2つを含めて6つも出てきた。使っていない大きなテーブルは屋内に2卓、物置に4卓立て掛けてある。うちは寄り合い所か。


心を無にして猛烈に捨て続けていたところ、テレビ放映した映画を録画したビデオテープが入っている箱が。シールに父親の手書きでタイトルが書いてあるので、1本取り出して見てみると「ナウシカ」だった。父ーちゃん意外!父ーちゃん意外!次のテープは「モノノケヒメ」。知らなかった。ジブリ好きか。ていうか、何でカタカナ。その隣にあった「タッ急ビン」には大ウケ。なんだろう、この全然違う映画感。ジブリはこの3本だけ。後は男はつらいよが数本。どれも「トラサン」しか書いてないので何作目かは分からない。ソレ、タイトルじゃないし!



持ってきちゃったらしい。ほんと、すみません。


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マッチコレクションの一部。その目はどうした? ミッ◯ー!