甥は2時間サスペンス好き

先週、実家へ行った時の話。両親、姉一家、姉の義理の両親(以下T家)、私の9人で、甥の9才の誕生祝いに、蕎麦屋へ昼食を食べに行った。なんで蕎麦屋!? 甥が蕎麦好きなのだ。姉からは11時に予約してあり、各自好きなものを注文すると聞いていたのだが、前夜、母がT家へ「12時に店へ来てください」と電話している。何故に12時!? 嫌がらせ? もしや姑VS姑問題勃発か!!


母曰く「あの店は出てくるのが遅いから、1時間後くらいに来てもらってちょうどいいんだ」と意味不明。「いくら遅いって言っても、11時半でいいんじゃないか? 」と父。そうだろ、そうだろ。これに対し母は「絶対大丈夫だ」と謎の強気。アンタ、その自信はどこから? ていうか、T家が来なきゃ注文出来ないじゃん!!


翌日。私だけがビビリながら11時に到着。10分で各自注文する品を決めたが、当然の如く12時と言われているT家は来ない。そりゃそうだろ!! そんな事とは知らない甥と姪は、何度も何度も駐車場へ見に行かされ、その度に「まだ来てない」と戻って来る。 だから来るわけないって。痺れを切らし、義兄が実家へ「すぐに来て」と電話。「まだ家にいたのか?」と父。当たり前だろ!! 何で今、店に居るのか電話の向こうで驚いてるよ!!


その後は家へ戻って甥と姪と3人でレゴで遊んだ。すると、組立てる拍子に騎士の兜がポーン!! と弾け飛んでしまい、なんだか知らないけど甥と姪が「カツラが飛んだ」と腹を抱えて大笑い。あまりに笑い過ぎて膀胱が緩んだか、しまいにはシッコが出るとトイレへ駆け込んでいた。なんでー!! 今の笑うトコ? どの辺が? 箸が転んでも可笑しい年頃ってやつ? 三十路の私だけ置いてかれてるよ!!


トイレから戻ってくると、今度はわざと兜を弾き飛ばし「ヅラが飛んだ、ヅラが飛んだ」と大はしゃぎ。私に「ヅラってカツラの事だよ」と、教えてくれる姪。そりゃマズイだろ、姪!! 笑いに一段落すると、2時間サスペンス好きの甥の脳ミソにピピーンときたらしい。「『カツラ男殺人事件』のドラマやる」と言い出した。なんじゃそら!!


甥が「現場」と「医務室」のセットをレゴで作るというので、姪と別の遊びをして待つ事しばし、「ジャージャージャー、ジャージャージャー(某サスペンス劇場のテーマ)」と歌いながら、姪と並んでセットの正面に座らされレゴ劇の開始となった。
 

甥が両手にレゴを1体ずつ持つ。「前から歩いてきた犯人が、騎士の胸にグサリ!! 」いきなり殺すとは1時間番組の展開の早さ。しかも、心臓を刺したように見えたがケガはないらしい。「犯人はカツラを持って逃げた。」どんな強盗だ。柱の影から一部始終を見ていた刑事が現れ、カツラ男を追いかける。刺す前に止めろよ、刑事!! 逃走10cm後に用意されていたオープンカーに飛び乗った犯人は、猛スピードで場外へ。「待てー、カツラ男ー」って、いつそんな名前に!?


刑事「大丈夫だ。カツラ男は現場へ戻って来る」アンタ、そりゃ放火犯じゃ?


刑事の言う通り、奪ったカツラを被った犯人が、のこのこと現場に現れ、何故か被害者を含むレゴ人形全員で包囲、逮捕された。カツラ男は医務室の椅子に座らされ、テープルを挟んだ正面の席に刑事が座る。「包丁はどこだ、カツラ男!! 」取調室の間違いらしい。「私じゃありません。」とカツラ男。アンタ、被ってるよ、カツラ被ってるよ。「お前が殺したのは分かってるんだ。」と刑事。この辺から殺人事件となっている。


刑事が小さくて丸い黄色いブロックをテーブルに乗せる。「これはCCレモンだ。これを飲んで白状しろ。100万円だ。」ぼったくりバーかよ!! 同じくグレーのブロックもテーブルに乗せる。「これはゴマジュースだ。これは100円だ。」安っ!! ていうか、ゴマジュースって?


何を思ったか、カツラ男が兜を脱ぎ、テーブルの下へ落とした。拾ってあげようとした刑事が剣に気づく。「こんな所に包丁が!! 」さっきから丸見えだーちゅうのに!! 「カツラ男は刑務所へ入りました。終わり。」終わりかい!!