9月鑑賞の映画

■『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』-The A-Team- ★★★☆


米ドル紙幣原版をテロリストから強奪する極秘任務で罠に嵌められた、米軍精鋭の特殊部隊・通称“Aチーム”の4名は、階級を剥奪され、別々の刑務所送りとなる。それから半年後、CIAのリンチ(パトリック・ウィルソン) からある情報を入手したAチームのリーダーで天才戦略家のハンニバル(リーアム・ニーソン) は脱獄し、どんなモノでも調達する色男フェイス(「エイリアス」のウィル)、メカニック担当で飛行機嫌いの怪力男B.A.バラカス(総合格闘家の人)、イカレた凄腕パイロットのマードック(「第9地区」の主役) と合流、汚名をそそぐためチームを再結成し、事件の黒幕を追うが・・・。ジョー・カーナハン監督。118分。


チャ〜チャチャ〜ン♪チャチャ〜チャ〜ン♪ 慎ましく暮らす市民が小狡い悪党(大抵バカ) に搾取され、汚名を着せられ当局に追われるAチームが依頼を受け、悪党退治に乗り出す80年代のTVシリーズ。鉄板ハリボテのバンで敵地に乗り込んだり、落とし穴にまんまと落としてやる手作り作戦で、私もスカッとしたクチ。リメイク版の本作は、Aチームの結成の経緯から、彼らが地下に潜伏し「助けを借りたい時は、いつでも言ってくれ!」 となるまでを描く。


新生Aチームのキャスティングは上々。お調子者の優男フェイスが武器の扱いに長けたマッチョになり、モンキーに宝石屋のショーウインドーと揶揄された、コングのジャラジャラ金ネックレスは無し。Aチームを執拗に追うベッカー大佐の代わりに、フェイスの元恋人ソーサ(ジェシカ・ビール) が軽く追っかけ、中盤で戦車が空を舞う豪快なアクションも、バカみたいに派手でイケてる。不満点は特徴でもある個々の役割分担がはっきりせず、コンテナ総崩しのクライマックスも盛り上がりに欠けた。リメイクとしては及第点で次回作に期待。エンドロール後に元祖フェイス(ダーク・ベネディクト) と、マードック(ドワイト・シュルツ) がカメオ出演


■『バイオハザードIV アフターライフ 3D字幕版』-Resident Evil: Afterlife- ★★


[1作目]巨大多国籍企業アンブレラ社の地下研究施設ハイブで、生物兵器“T-ウィルス”が漏出、神経ガスにより記憶喪失の特殊部隊員アリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ) は、パンツ丸出しエロキックや太腿に挟んで首コキリのオヤジ昇天アクロバティック攻撃により、人喰いアンデッドと化した職員相手に暴れ倒す。冒頭とラストの全裸が見所。


[2作目]1作目のラストから36時間後。地上へ溢れ出たアンデッドにより感染者が爆発的に増殖、生存者ともども封鎖されたラクーンシティから、ある人物の救出を求められたアリスは、アンブレラ社の実験により変異した驚異的な身体能力で敵を蹴散らし、人間業を超えたアクションで1人勝ち。クライマックスの全裸が見所。


[3作目]アンデッドが蠢くネバダ州で、アンブレラ社の衛星の監視を逃れ旅を続けるアリスは、もはやX-メンの一員と化す超能力で皆をビビらせて、クレア(アリ・ラーター) 率いる生存者グループの窮地を救う。アリスはクレアやK-マート(スペンサー・ロック) と子どもたちを、汚染がないと噂される安息の地“アルカディア”があるアラスカへと見送り、唯一T-ウイルスに抗体をもつアリスのクローンで実験を続けるアンブレラ社を壊滅すべく、地下研究施設を襲撃する。全裸はなし。


そして、今回の4作目。東京で初めてT-ウイルスの感染者(中島美嘉) が出てから4年後。渋谷の地下にあるアンブレラ東京支社をアリスのクローン軍団が襲撃。ターミネーターの如く普通の人間じゃない感を漂わせた責任者ウェスカー(ショーン・ロバーツ) は小型機で逃亡し、全てお見通しで待ち構えていたオリジナルのアリスへも、彼女の能力を奪う血清を投与するが、どうやらアホらしく墜落する。


小型飛行機でアラスカへ飛んできたオリジナルのアリスは、胸に装置をつけられ記憶を失くしたクレアと再会し、消えた生存者たちを探す中で2人はロサンゼルスに辿り着く。アリスはアンデッドに包囲された刑務所に立て篭る数人の生存者たちを、感染がなく安全だと呼びかける巨大貨物船“アルカディア号”へ連れて行くため、危険人物として彼らに拘束されていた、クレアの兄を名乗る男(「プリズン・ブレイク」のマイケル) とともに、刑務所からの脱出を図るが・・・。ポール・W・S・アンダーソン監督、97分。


いや、そのアルカディア号ってもの凄く怪しいだろう。渋谷のスクランブル交差点の下にこんなバカでかい施設があったとは、地下鉄はどうした。というツッコミは日本人のお約束で。人類がアンデッドと化す滅びゆく地球で、生物兵器の開発を続けてどうするんだ? アンブレラ社。誰が買うんだ。どこで使うんだ。東京で暴れるアリスも、数少ない人間を片っ端から皆殺しにして更に減らしている。


3作目でゴムマスクのようにツルンペロン顔だったミラ・ジョヴォヴィッチは自然な肌になり、脅威の身体能力を失ったはずがシルク・ドゥ・ソレイユみたいな縦横無尽アクションを披露。アンデッドは「遊星からの物体X」の口からワラワラみたいなえらい事になっていて、水中からも襲いかかる上に、気の遠くなるようなトンネルを地底に掘るほど進化。


3Dはもうどうでもいいような感じで、スーパーハイスピードカメラのようなアクションばかりで飽きる。マトリックスばりの弾避けを見せるウェスカーは、弾丸は避けられても蹴りはまともに食らうマヌケぶり。エンドロール中に2作目に出演したジル・ヴァレンタイン(シエンナ・ギロリー) が出て来るので席を立たぬように。今作ではアンデッドにやられた人間は即時退場となり、感染し異形の者へ変貌する恐怖や、かつて仲間だったアンデッドと対峙する葛藤のドラマは皆無。


■『魔法使いの弟子』-The Sorcerer's Apprentice- ★★


偉大なる魔法使いマーリンと3人の優秀な弟子バルサザール(ニコラス・ケイジ) 、ホルヴァート(ヒゲちゃびん)、ヴェロニカ(モニカ・ベルッチ) が、邪悪な魔法使いモルガナ・ル・フェイと戦いを繰り広げていた時代。弟子の裏切りによりマーリンは殺害され、モルガナは善と悪の弟子ともども“魔法の監獄”に封じ込められる。


第777代魔法使い最高指導者となったザルサザールが、マーリンの後継者を探す旅に出てから1千年後のニューヨーク。見えない力の導きにより“選ばれし者”である、9才の平凡な少年デイヴを見つけ出すが、諸事情によりそれっきりとなり10年後。バルサザールとの不可思議な出来事でのトラウマで、内気な物理オタクの大学生に成長したデイヴ(ジェイ・バルシェル) の前に再びバルサザールが現れる。デイヴを強引に弟子にしたバルサザールは、悪の魔法使いたちが解き放たれる前に、彼に秘められた力を覚醒させようとするが・・・。ジョン・タートルトーブ監督、110分。


内容が無いよう!! 但し、冒頭に一気に台詞で説明するので、ここをボヤっと見逃すと細々と分からなくなる。平凡な男の子が宿命を背負う凄い力の持ち主だったお決まりのパターンにおいて、主人公のボンクラ容姿が酷すぎる。脇役でドジを踏む引き立て役のようなショボイ顔はオーラ皆無。平凡すぎるにもほどがあるだろう。思いを寄せる幼なじみに、テスラコイルで音楽を奏でる場面はロマンチック〜♪ なのに顔が!!


本人だけが楽しそうなロン毛ニコラス・ケイジのハイテンションは完全に浮いていて、師匠を失い人気イリュージョニストになっていた男のキャラクターは面白い。色気爆弾モニカ・ベルッチは、溢れ出る妖艶さで素敵だけど出番は少ない。見事なほどに傷口や死体が映らないため、唐突に映らなくなる人(死んでいる) 多数。「ファンタジア」のあるエピソードを実写化した場面は全然面白くない。