10月鑑賞の映画

■『ワイルド・スピード MEGA MAX』-Fast Five- ★★★★
■『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』-Captain America: The First Avenger- ★★☆


■『ファイナル・デッドブリッジ 3D日本語吹替え版』 -Final Destination 5- ★★★


[ストーリー] 製紙会社に勤める青年サム(ニコラス・ダゴスト) は、同僚や上司とともに貸切バスで研修旅行へ向かう。やがて、バスが巨大な吊り橋の途中で停車した時、強風に煽られた橋が崩落し、逃げ惑う同僚たちに続いて、サムも無惨な死を遂げていく・・・。ハッと我に返ったサムは、そのヴィジョンと全く同じ状況を追いかけるような現実の出来事に、ただの夢ではないと確信。恋人モリー(エマ・ベル) を強引にバスから降ろし、2人を連れ戻すために6人がバスを降りて後を追う。その直後に予知夢が現実となり大事故が発生、死ぬはずだった8人が生き残った。


犠牲となった社員の追悼式でサムらは、謎の男ウィリアム(トニー・トッド) から「死は騙されない」と警告を受ける。サムの関与を疑うFBIのブロック捜査官(コートニー・B・バンス) は、事故の調査を続けていたが、生き延びた8人は次々と不運な事故死を遂げていく。恋人を失ったピーター(なんちゃってトム・クルーズ顔) は、生き残るためのルールを実行しようとするが・・・。スティーヴン・クエイル監督、92分


[コメント] 死の筋書きを変える事はできない「ファイナル・デスティネーション」シリーズ第5弾、3D初の18禁!! 幸運にも死を免れたはずの者たちが、倍返しの苦痛と死の順番を待つ恐怖から逃れられない、究極のワンパターンが本シリーズの魅力。大事故に巻き込まれる非日常な死亡場面と、平凡な日常生活に潜む不運な事故死という、異なる凄惨な死に様を満喫できる。ありふれた出来事が重なり、加速度的に状況が悪化、考えられないような不運な結果をもたらす“死のピタゴラスイッチ”が、楽には死なせてくれないのだ。事故で死んどきゃ一瞬だったのに!!


過去の4作品の予知夢を見る主人公は、男子高校生(飛行機)、女子大生(ハイウェイ)、女子高生(ジェットコースター)、男子大学生(サーキット) で、事故現場に違いがあるだけで基本は全く同じ。最初の人間は引っ張るだけ引っ張って派手に死に、2人くらいは骨も残らないラッキーな即死、そして最後には主人公と恋人が残されて…というパターン。死神は絶対に損をしない。3作目以降からは、粘りに粘って頑張って死んで欲しいとか、この人は笑える方法で死んどけ!! みたいな、感情移入の余地のない極薄キャラクター揃い。死に様以外の見せ場など、一切どうでもいいという潔さ。今回、人一倍奮闘していたセコくて幼稚な小太り男はもっと見たかった。


過去作品と本作品の死に繋がるアイテムが、3Dでガンガン飛び出してくるオープニングに興奮し、まさかあの場面のエンディング、死の名場面だけを怒濤の勢いで観せていくエンドロールは必見で、このシリーズのファンへのサービスは100点満点。が、しかし!! 唐突に提示される<生き残るための新ルール>には驚いた。誰に聞いたんだ、ウィリアム!! 死にゆく順番に策を弄する事もなく、皆で協力し助け合う事もなく、ささいな兆候に神経を研ぎすまし、死にものぐるいで死を回避しようとする悪あがきをしない。R18となった死のバリエーションは逆にあっさりしてる。ちなみに私のベスト死に様大賞は、2作目の「高額宝くじが当選した男」。3Dは前作より遥かに良かった。吹替えもタレントではなく一安心。想像通りのレーシックの場面はキョーレツ。このシリーズもこれで終わってしまうのか? 一巡して新たなルールによる始まりなのか。


■『世界侵略:ロサンゼルス決戦』-Battle: Los Angeles- ★★★☆
■『アジョシ』 -The Man from Nowhere/Ajoshi- ★★★☆


[ストーリー] 雑居ビルで質屋を営むテシク(ウォンビン) は、他者と関わりを持たずに生きている。家族はおらず、訪ねて来る者もいない。隣に住む大人びた少女ソミ(キム・セロン) は、"アジョシ(おじさん)"と呼び店に入り浸るが、愛情に飢えた彼女をテシクは突き放す事が出来ないでいる。ある日、テシクの店に殺し屋たちが現れ、クラブダンサーをしているソミの母親ヒョジョンが質入れしたバッグを要求する。テシクは彼らに従いバッグを引き渡すが、ソミとヒョジョンは連れ去られてしまう。テシクは唯一の手掛かりを頼りに黒幕を突き止め、ソミを救い出そうとするが・・・。イ・ジョンボム監督、119分


[コメント] 過去を葬った無愛想な男の頑な心をほぐす孤独な子ども。その子どもが誘拐された時、単身で救出に乗り込むその男は、元殺し屋とか、元特殊部隊とか、元諜報部員とか、人を殺めて過去を捨てた武術家とか、実はメチャクチャ強い人だった!! という良くあるパターン。ただの会社員だったらアクション映画にならないんだが、強いだけじゃなく、鍛え抜かれた肉体のイケメン兄ちゃんという完璧なヴィジュアル。出来すぎでしょ!! 鬼太郎みたいな髪して身なりに構わず質素に暮らす前半も、細身の黒スーツでクールに街を疾走する姿も、人間凶器と化し悪人どもを冷徹に殺しまくるアクションも、ファッションモデルのような容姿がいちいち目を奪う。お約束の上半身裸のサービスシーンもあり。目の際にたっぷりと溜めてから、ここぞというタイミングでツーッと流す男の涙も健在。カミソリで髪の毛をバサバサ切り落とし、バリカンでジョリジョリと仕上げただけで、カリスマ美容師にやってもらったかのよう。


何もかもがベタなご都合主義の総動員にも関わらず、その一切のブレのない善悪のキャラクターと、ほどほどに容赦のない演出が、感情にねじ込んでくる韓国映画の力技。劇場内で泣いている人もちらほら居た。2つの犯罪組織や刑事など、同じ年格好の登場人物は多いのに、誰が誰だか見分けがつかなくなるような事はなく、どういう役回りなのか全く混乱しない。ウォンビンが2階のガラス窓を突き破って脱出し、地面に着地して走り出す一部始終をカメラが追いかけるシーンのスピード感や、慈悲深い殺し屋との対決の見せ場もバッチリ決まる。ところで、直訳なのか言いたい事は分かるが、だから? と一瞬ポカーンとなる台詞が気になってしまった。