10月鑑賞の映画

■『ファイナル・デッドサーキット3D』(R15+) ★★
大学生のニック(ボビー・カンポ)と恋人ローリ(シャンテル・ヴァンサンテン)は、サーキット場でダブルデートを楽しんでいたが、レースが最高潮に達した時、1台の車のクラッシュに巻き込まれて後続車が次々と炎上、満員のスタンド席に車体の残骸が突っ込み大惨事となる…。自分が死に至る白昼夢から覚めたニックは、あまりにもリアルな感覚と、夢と同じ事故直前と同じ光景にパニックに陥り、友人カップルや周囲の客とともにサーキット場から逃げ出す。その直後、ニックの予知通りの大惨事が発生。間一髪で死を免れた9人だったが、偶然の災難によって1人また1人と死んでいく。彼らが予知夢の順番通りに命を落としていると知ったニックは、“死の運命”から逃れる道を探すが…。


1人の予知夢によって幸運にも惨事を逃れたと思われた人々が、死の運命からは逃れられず死んでいく『ファイナル・デスティネーション』シリーズ第4弾。生存者たちは“死の筋書き”を変えるため脳ミソをふり絞って用心するのだが、死ぬはずだった惨事の倍返しで酷い目に遭い、恐怖と苦痛の果てに無惨に死を迎えるという身も蓋もない話で、ややこしい壮絶な死のバリエーションが魅力。過去3作品と同じく、単純な不運の連続でジリジリと死が迫る簡単には死ねない人と、ピタゴラスイッチの如く1つのきっかけから生じる事故にドンピシャリで即死する人、一瞬で木っ端微塵にカタがつくラッキーな人の3種類の死に様が展開。つくづく死ぬ時は素直に死んどこうと思う。飛び出す効果を狙った死に方はむしろ恐怖が削がれる。料金も高いしタレントの吹き替え版は恐ろしく酷い。私のお気に入り死に様No.1は、腹がよじれるほど笑った『デッドコースター』の宝くじ当選男。ところで、「死んでいたはずの人間(主人公たち)に命を救われた人も死ぬ運命にある」というルールは無かった事になったのか、今回は大人数を救ってしまったので気になる。


■『ワイルドスピード MAX』 ★★★
連続輸送品強奪犯の捜査で潜入中の凄腕ドライバーのブライアン巡査と、その容疑者でカリスマ・ストリートレーサーのドミニクが、走り屋の絆を深めるが遺恨を残し決別。しかし互いの生き方を尊重し、指名手配犯となったドミニクをブライアンが故意に逃がす1作目。その事で市警をクビになったブライアンはマイアミのストリートレースで稼いでいたが、再びFBIの依頼を受けムショ上がりの旧友と手を組み麻薬貿易商へ潜入、逃亡を図る敵ボスのヨットへドカーンと車で突っ込んで事件を解決したのが2作目。3作目は未見。
それから数年後。逃亡犯となりドミニカ共和国で輸送品の強奪を繰り返していたドミニク(ヴィン・ディーゼル)は、追跡の手が迫り恋人レティ(ミシェル・ロドリゲス)を残して姿を消す。やがて、妹ミア(ジョーダナ・ブリュースター)から緊急連絡が入りLAに戻ったドミニクは、FBI捜査官となったブライアン(ポール・ウォーカー)と再会。互いに協力も干渉もせず、共に目的を果たすため姿を見せない麻薬組織のボス“ブラガ”を追う…。


やたらめんどくさい輸送品強奪方法は健在で、滅茶苦茶リスキーでツッコミどころ満載のオープニングに度肝を抜かれるも、見せ場はこれで終わり。ストリートでバカやってる隣のお兄ちゃん的なノリは中盤の選考レースくらい。敵ボスと復讐の相手がいくらなんでもショボすぎて驚いた。落ち目の三度笠のV・ディーゼルは復活ののろしを上げ、P・ウォーカーは子犬キャラのまま、目が座ってる女優でキルスティン・ダンストとイチニを争うM・ロドリゲスと、J・ブリュースターは少ない出番ながら魅力を増した。ミス・イスラエルにも選ばれた絶世の美女ガル・ギャドットは印象に残らない凄い美人。


■『サブウェイ123 激突』 ★★★
ニューヨーク、午後2時。ペラム駅1時23分発の列車が武装した4人に乗っ取られ、1両目を切り離し緊急停止した。ライダー(ジョン・トラヴォルタ)と名乗る男は、市長に対し19人の人質と引き換えに1000万ドルを要求、残り時間は59分だと告げる。そして汚職疑惑で停職寸前の運行指令係ガーバー(デンゼル・ワシントン)を交渉役に指名、ガーバーは会話を続ける中で事件解決の糸口を探るが…。


オリジナルは未見。状況と人物像を把握させる無駄のないオープニングがスリリング。ガーバーとライダー以外はカス扱いで焦点を絞り、コンパクトな上映時間に緩急つけて、緊張感を維持したままクライマックスへ突入。ヘリだろ? フツー!! の身代金運搬の無茶ぶりが凄い。見せ場作りのための銃撃戦の唐突さと、詰まんない目的、気の抜けた逃走方法に尻すぼみ。


■『ドゥームズデイ』(R15+) ★★
2008年、治療薬もなく短時間で死に至るウイルスがグラスゴーで蔓延し、高い城壁で完全封鎖されたスコットランドは非感染者もろとも見捨てられた。2035年、根絶したはずのウイルスがロンドンに持ち込まれ、城壁内部の生存者の存在を隠していた英国政府は、ウイルスの抗体を手に入れるため精鋭部隊を送り込む。世界の終末“ドゥームズデイ”まで48時間と迫る中、城壁によって母親と生き別れになった部隊リーダーのエデン(ローナ・ミトラ)らは、文明が崩壊し廃墟と化した街でケイン博士(マルコム・マクダウェル)を探すが…。


超絶バカしか生き残っていない塀の内側へ到着早々、飛んで火にいる精鋭部隊があっけなく死んでいく出血大サービス。ウイルスに関しては軽くスルーし、BBQ男の首チョンパのような場面ではレアの断面を丁寧に描写。スクリーンに釘付けにさせる勢いはなく、ケイト・ベッキンセールと完全にかぶるローナ・ミトラはどうにも華なし。有名B級映画を盛り込んだ寄せ鍋世界観は、語り継がれる事ない無難な仕上がり。