ネタバレ劇場 11月鑑賞の映画

※オチが分かればいいという人限定で。

1)母なる証明           ★★★★★
2)スペル             ★★★★★
3)ホワイトアウト         ★★★★
4)ファイナル・デッドサーキット3D ★★


■『母なる証明』-Mother-
[監][原]ポン・ジュノ
[脚]パク・ウンギョ/ポン・ジュノ
[出]ウォンビン/キム・ヘジャ/チン・グ/ユン・ジェムン


すべての人間は、母親から生まれた―――。


漢方薬店で働く母親(キム・ヘジャ) は、女手ひとつで育て上げた『とても美しい子鹿のような瞳をしている、子どものように純真無垢』な30才ちかい息子(ウォンビン) と2人暮らし。奥歯にモノが挟まりまくりながら言い換えると、息子は物事を複雑に考える事ができず、他者の言動を鵜呑みにし、社会性の欠如と判断力の低さから日常生活も危うい。息子の存在が己の人生の全てである母親は、息子を都合良く利用する悪友(チン・グ) といつも遊んでいる事でも心配が絶えず 、ほとばしる立ち小便の最中ですら漢方薬を飲ませるほど世話を焼いている。飲むか出すかどっちかで落ち着け。


ある夜、悪友に約束をすっぽかされて1人で帰宅途中の息子は、前を歩く女子高生を無邪気に冷やかしていたが、建物の暗闇に消えた女子高生は、通り過ぎた息子の背後へカーリングのストーンくらいある石を投げつけてきた。死ぬトコだろ!! 驚いた息子は逃げるように帰宅。いつも通り母親の布団の中へ潜り込んで眠りにつく。


翌朝、息子が最後に見た建物の屋上の手摺に身体を折るようにして、撲殺された女子高生の死体が発見された。殺人事件など起こらない静かな田舎町で、現場近くで見つかった名前が書かれたゴルフボールだけを証拠に、顔見知りの刑事(ユン・ジェムン) は息子を容疑者として逮捕。自分の事すらままならないのに、人を殺せるワケがないだろ!! という事は周囲の誰もが分かっていたが、置かれた状況を理解できない息子に、自供の拇印を押させてしまう。事件を解決させた無能な刑事や、精神病者として刑期を短くしようとする弁護士に業を煮やした母親は、自らの手で真犯人を探す決意をする…。


真っ先に疑わしい息子の悪友の家へ忍び込んだ母親は、血痕のついたゴルフクラブを発見。警察へ持ち込むが血痕ではなく恋人の口紅。
悪友から慰謝料として500万ウォン(約38万円) を要求された母親は、なけなしの金を支払うが、変わりに彼は「何故、女子高生は町の全ての人間に見えるような場所に放置させられたのか」と疑問を呈し「女子高生の周辺を調べろ。誰も信じるな」と母親に助言。


漢方薬店オーナーに隠れて非合法の鍼治療を施している母親は、写真店を営む友人(チョン・ミソン) が、死んだ女子高生と顔に傷のある友達が来店していた事を思い出す。
顔に傷のある友達を見つけた母親は、その友達が女子高生の携帯電話を、写真を撮る時に音が出ないよう改造していたと知る。
女子高生の携帯電話を探していた男子高校生2人を見つけた母親は、息子の悪友に金を渡して2人を拷問させ、貧しい家で認知症の祖母と暮らす女子高生が、米と引き換えに身体を売っていた事と、関係を持った30人以上の男たちの写真を密かに撮影していたと聞き出す。


認知症の祖母から女子高生の携帯電話を受け取った母親は、息子との面会時に不鮮明な画像を見せるが、昨夜の記憶すら曖昧な息子は何も思い出せない。ああもう!! これが唯一の手掛かりのため必死の母親は、こめかみをぐるぐる揉みほぐす「呪いのマッサージ」で記憶を呼び覚まそうとするが、息子は5才の時に母親が自分に毒入り栄養剤を飲ませようとしていたと鮮明に思い出し「もう面会に来るな」と突き放す。生活に困窮し無理心中を図ったが失敗した、息子には決して知られたくなかった過去を責められ母親半狂乱。面会用の小さな穴から、太腿にある「悪い記憶を消すツボ」に鍼を打つから太腿を出しなさいと騒ぎ取り押さえられてしまう。そんな無茶なお母ちゃん。


死んだ女子高生が石を投げてくる前に、近くの建物の中に小汚い男が居た事を思い出した息子は、母親を呼び画像を指差す。恐るべし呪いのマッサージ!!
その顔が町外れに暮らす廃品回収業の男だと分かった母親は、ひとりでその男の家へ向かう。なんで1人で行くんだ!!
鍼治療のボランティアを装う母親は、世間話をするふりで死んだ女子高生の話を持ち出す。直球すぎでしょ!!
廃品回収業の男はあっさりと現場に居た事を認めたのだ。殺されるって!!


あの夜、米を用意して女子高生を待っていた廃品回収業の男が建物の外を伺うと、「どこへ行くの?」としつこく女子高生に声を掛けている青年(息子) の姿。母親ではない女性と「同じ布団で眠る」恋人というものに漠然と憧れている息子は、ほろ酔い気分もあって「男が嫌い?」と問いかけたが、無邪気な息子の一言に男への憎しみを募らせた女子高生は「馬鹿」と罵り大きな石を「足元」へ投げつけ背を向けた。普段から他人に馬鹿にされる度に逆上していた息子は、階段の上から石を投げ返し、女子高生の後頭部に鈍い音を立てて命中した。うそーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!


そこまで聞いた母親は動揺のあまり、その青年と容疑者(息子) とは別人に違いないと自らに言い聞かせるが、「青年は動かなくなった女子高生を前に困惑し、こめかみを揉みほぐすようなマッサージをしていた」と聞き、絶望のうめきを洩らす。そんなところで呪いのマッサージ!! 「青年は女子高生の足を掴んで屋上へ運んで行った」「現場検証の際に容疑者の顔を確認したから間違いない」と廃品回収業の男。ていうか、お前はすぐに警察に言えよ。


「息子は犯人ではない、まもなく釈放される」と取り乱す母親に、「そんなはずはない。やはり証言しなくてはいけない」と廃品回収業の男が電話に手を伸ばしたため、母親は近くにあったスパナで廃品回収業の男の後頭部を殴打。やっちゃったよ!! ガンガンガンガンガンガンと殴りつけ、家に火をつけて出て行く。ハンドバッグを忘れてるって!! 鍼治療セットも忘れてるって!!


精も根も尽き果てた母親が漢方薬店で薬草を切っていると刑事が訪ねてくる。バレたか!!「女子高生殺害の真犯人が捕まりました」なんですとー!! 別件で逮捕した青年の服に女子高生の血痕がついていたのだ。青年は女子高生の鼻血だと主張しているが、ゴルフボールより確かな証拠なので間違いないと刑事。刑事は知らなかったが、女子高生は何かの病気で鼻血を流していたと聞いていた母親の胸がざわめく。刑事に頼んで面会させてもらった母親は、息子と同じように状況を理解できない判断力の乏しい青年に「母親はいるのか?」と問う。「いない」という答えに母親は慟哭し、もはや確かめる術もなくなった「真実」を葬り去る。


息子が釈放された日、慰謝料などで母親に出させたお金で車を購入した悪友が迎えにくる。全くこの悪友はワケ分からん。帰宅途中、焼け落ちて放置されたままの廃品回収業の男の家の側を通りかかった息子は焼け跡を見て回り、帰宅し食事を終えると、母親の布団の中へ潜り込む。「犯人はきっと怪我をした女子高生が誰かに気づいてもらえるように、建物の屋上に放置したんだと思う」と息子が呟く。それでか!!


バスツアーに出掛ける母親を見送りにきた息子はお菓子を渡すついでに、焼けこげた鍼治療セットを手渡す。「廃品回収業の男の家の焼け跡から見つけた」と。なんで!! なんで!! なんでー!! 動揺する母親の視線を、息子は澄んだ眼差しで見つめ返す。狼狽えたままバスに乗った母親は鍼を取り出し、太腿にある「悪い記憶を消し去るツボ」に刺すと、激しく踊り回る友人たちの輪に加わり、全てを消し去るように踊り続ける。終わり。


■『スペル』-DRAG ME TO HELL-
[監][脚]サム・ライミ
[出]アリソン・ローマン/ジャスティン・ロング/ローナ・レイヴァー/ディリープ・ラオ/アドリアナ・バラーザ


何故?どうしたら? 解けなければ、死。


1969年、カリフォルニア州パサデナ。少年を抱きかかえた夫婦が霊媒師(アドリアナ・バラーザ) に助けを求めて駆け込む。3日前に息子がロマの家からネックレスを盗み、それ以降、奇怪な現象に苛まれた少年は憔悴していた。今すぐ返して、早く返して、お土産つけて返してきて。ネックレスを返しに行ったが受け取っては貰えなかったという。子どもの悪ふざけとて容赦なし!! 霊媒師は親子を屋敷の中へ招き入れるが、すぐに不穏な気配が忍びこみ、見えない“存在”が少年の両親の頬をビシバシ叩く。痛い、痛い、痛い、痛い。そして、霊媒師を後方へブッ飛ばし、目にもとまらぬ速さで少年の身体をかっさらう。手摺を乗り越え1階へ突き落とされた少年の下には地獄の口が開き、恐怖にもがく少年の身体が灼熱の炎に引きづり込まれて行く。霊媒師が成す術なく見ている前で、助けを求め伸ばした少年の腕が飲み込まれ、屋敷は静寂に包まれる。・・・ネックレスだけで!!


現代。銀行のローンデスクで働くクリスティン(アリソン・ローマン) は、3度目のローン延長を求めるロマ風の老婆(ローナ・レイヴァー) の担当になる。片目の視力を失ったため働いていないが、孫娘には面倒をかけたくないと勝手な事を言いやがり、黄色く変色した長い爪、濁った右目、ゲボゲホ…ウエェェェオエェェェグエェェェとハンカチに吐き出す痰の粘りっ気に嫌悪感を抱くものの、30年暮らした自宅を失う老婆を気の毒に思い逡巡する。上司の判断を仰ぎにクリスティンが席を離れた隙に老婆は、入れ歯をグチョ〜と外してテーブルの上に置き、キャンディーを舐めて、ご自由にどうぞのキャンディーを全てバッグへかきこむ。大阪のオバちゃんか!!


ローン延長の方向で考えていたクリスティンだったが、アシスタントマネージャーへの昇進をかけて新人(以下、昇進ライバル男)と競っており、厳しい判断をするようにと上司に促される。学歴も財力もなく農場出身を理由に資産家の彼氏(ジャスティン・ロング/沢田亜矢子の元夫に似ているので、以下、ゴージャス松野) の母親に交際を反対されているクリスティンは、昇進を確実のものにして心象を良くしたい。ていうか、そんな姑イヤだろ。


舐めかけのキャンディーをティッシュに出して、入れ歯を装着してホクホク顔で待ち構えていた老婆は、クリスティンからローン延長不可と言い渡され愕然。フロアの床に膝をつけて「この私がこうして頼むよ、お願いだ」と懇願。いや、ババアが土下座したからって金かせねーし。店内の注目を浴び、止めさせようと近づくクリスティンにすがりつくように伸ばした老婆の必死さに恐怖を感じた彼女は突き飛ばし警備を呼ぶ。その行為に老婆は「わたしに恥をかかせたね」と激昂。そこなんだ? ババアの怒りのツボは!! 公衆の面前で誇りを軽んじられたババアは、クリスティンに飛びかかり首を締め上げた。ヨボヨボと見せかけといて、ババア恐ろしく俊敏。駆け付けた警備員に両腕を取られながらも、「許さない」と激しく睨みつけ、意味分かんないババアにクリスティンも言葉を失う。誰だよ担当は。私か!! ともかくババアはつまみ出された。



クリスティンの案件が本社に認められ、翌朝までに書類をまとめるよう上司に指示された彼女は、残業を終えて持ち帰る書類や文房具などをケースに入れて駐車場へ。ガランと静まり返った駐車場のクリスティンの車の前に、昼間のババアの車が停めてある事に気づく。ストーカーババアか!! 来た道を戻るか躊躇うが、急いで鍵を開けて車の中へ滑り込む。ババアの車の近くに、ババアが痰を吐き出していたハンカチがヒラヒラと風に舞う。きもー!!


ババアの車から視線を下ろした瞬間、後ろの席に座っていたババアがクリスティンに襲いかかる。出たな、ババア!! 首を締め上げられたクリスティンは、助手席のケースからステープラーを掴み、ババアの顔面を打ちつける。ガシャコン、ガシャコン、ガシャコン!! 見えない方の眼を針で塞がれ、額に針を突き立てたまま、なおもババアがクリスティンの髪の毛を束で引き抜く。悪役レスラーか!! つかみ合いになり再び首を絞められたクリスティンは必死にシートベルトを装着し車を急発進。停車中の乗用車に突っ込み、後部座席のババアが弧を描いてダッシボードに激突、顔がぐにゃりとひしゃげ、入れ歯が飛び出す。


すぐさま入れ歯をはめ直したババアがクリティンの顎に食らいつく。痛い、痛い、痛い、痛い!! ババアをブン殴り、蹴飛ばし、思い切り振りかぶって口の中へ定規を突き立てるが、ペッと吐き出したババアはクリスティンの髪を掴んで放さない。痛い、痛い、痛い、痛い!! 不死身のババアを相手に死にものぐるいのクリティンはバックで急発進させ急停止、怯んだババアを車の外へ思い切り蹴り落とし、扉を閉めて鍵をロック。お前の負けだよクソババアと一息ついた矢先、ブロックを持ち上げたババアがガラスを突き破り、クリスティンの足首を掴んで車から引きづり出す。ホントかよ!! ババアは両手で顔を庇うクリティンのコートの左袖のボタンを毟り取り、不気味な呪文を唱え始め最後に呟く「ラ〜ミ〜アァァァァ〜」。周囲の景色が歪み、クリティンの意識が遠退く中、コートのポケットにボタンを返したババアの嘲る声が聞こえる。「今度はお前が私に赦しを乞う番だ」と。


意識を取り戻したクリティンは警察を呼び、ゴージャス松野に迎えに来てもらう。そして、通りを歩いていたクリスティンを導くように風が吹き、占いの館に辿り着く。心理学の教授のゴージャス松野は信用していないが、クリスティンにはいま観てもらう必要があるという強い感覚を無視する事ができず、小バカにする彼を説得して店内へ。自分のお金なんだから放っとけよと思ったが、支払ったのはゴージャス松野のプラチナカード。しかし、毛もじゃら霊視男(ディリープ・ラオ) はクリスティンに取り憑く邪悪なものに脅え、2人を追い返す。


帰宅後はゴージャス松野がレッカー車の手配で出掛けたため、持ち帰った仕事を始めるものの、神経を逆なでする金属音が気になり階下へ。門扉をガタガタ弾き返す音が響き渡り、開いた窓からビュービュー吹き込む風がキッチンでぶら下がる大量の鍋やフライパンをガランゴロンかき鳴らす。お前んちはレストランか!! そして、壁に大きな獣の影が浮かび、見えない何かがクリスティンを壁に叩き付け、首を締め上げる。心配で戻ってきたゴージャス松野は唇を切って倒れていたクリスティンと家の中の惨状に驚く。遅いんだよ、お前は。例のババアの仕業だと怒り心頭のゴージャス松野は、襲った相手を見ていないというクリスティンの言葉を信じ、警察に届けるのを思いとどまる。いや、フツーはババアの仕業とは思わないが。


その夜、ベッドで眠るクリスティンの回りで蠅が飛び、左の鼻の穴から入って右の穴からブ〜ン。鼻の穴デカッ!! そのまま口に入った蠅がお腹へいき、喉の違和感に咳き込んで目覚めると、隣で眠っていたはずのゴージャス松野がババアになっていて飛びかかる。なんでババアが添い寝!! クリスティンに馬乗りになったババアの口から大量の虫が溢れ出し、クリスティンの口の中へドババババー!! ・・・という所で、目が覚めた。夢かよコンチクショー!!


1日目。仕事中のクリスティンは腹の中から聞こえる蠅の羽音におどろき、激しく咳き込む彼女を心配し近づいてきた上司に向かって鼻血ブブブブブブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!! 鼻血史上最大量の血が吹き出し、立ちつくす上司の顔と胸元が血に染まる。恥をかかされ早退したクリスティンのデスクから、昇進ライバル男がファイルを持ち出す。


気が重いながらババアの自宅を訪ねるクリスティン。戸口に現れた孫娘は「赦しを請いにくる者がいる」と聞かされていたと言う。ローン延長不可は上司の意向だったと取り次ぎを求めるが、クリスティンが若い頃に太っていた事まで“分かる”孫娘は鼻で笑う。お見通しかよ!! ともかく、ババアに会って直接謝罪したいと頼み込み地下へ案内されると、何故か親戚一同大集合のドンチャン騒ぎ。戸惑うクリスティンはババアの遺影に驚愕。死んでるよ、ババア!! ショックによろめいて手をついた柔らかいものは、死にたてホヤホヤのババアの顔で絶叫。ババアの手がクリスティンの髪を掴み、遺体と絡まるように床へ転倒。毛がごっそり引き抜かれ、上になったババアの口から青りんごゼリーみたいなドロドロの塊がクリスティンの顔に向けてドババババババー!! またかよ!! 遺体を蹴り飛ばし「報いを受けることね」と嘲笑する孫娘の言葉を背中に受け、家から逃げ出す。


再び占いの館を訪れたクリスティンは、毛もじゃら霊視男に事情を説明。ババアに呪文を浴びせられた彼女には、3日間の悪夢が続いた後に、ラミアという地獄の番人に魂を地獄へ引きづりこまれる呪いがかけられていると言う。ババアの怒り、恐るべし!! そんな事が出来るなら、ローンくらい自分で何とかしろ。呪いをかけて返されたコートのボタンを処分しても無意味で、呪いを解く方法はない。ホントかよ!! 毛もじゃら霊視男は気休めに「小動物を生贄に捧げる方法」が書かれた本を手渡すが、子猫を大切に飼っているクリスティンは、そんな事が出来るはずがないと怒り出す。あのババアを前に綺麗事を言ってる場合か!!


帰宅後、「小動物を生贄に捧げる方法」など論外で悶々としていたクリスティンの前に、またしても姿の見えない獣の影の気配。恐怖に脅え二階へと逃げ、ドアの鍵をかける。鍵かけてどうする。ベッドの上へ逃げるクリスティンを掴み上げた何かは、彼女を逆さ吊りで激しく振り回し壁へ叩き付け、ふいに消滅。ババアの襲撃に比べれば屁でもないが、覚悟を決めたクリスティンは飼い猫の名を呼ぶ。猫を庭に埋めたところで、早退を心配したゴージャス松野が現れ、クリスティンは手作りのケーキを持って彼の両親との食事会へ。


万事解決したクリスティンはご機嫌で、交際には反対だったゴージャス松野の母親も、勤勉で正直な彼女を認め打ち解ける。いや、解決してないから。和やかな会話が続く中、クリスティンのケーキに、目ん玉がギョロリ!! きもー!! 落ち着いてフォークを突き立て、真っ赤なソースがダラダラ流れ出す。すると突然激しく咳き込んでしまい、ゲッホゲッホゲッホゲッホ、クリスティンの口の中からブ〜ンと蠅が飛び出した。なんでこんな時に!! ゴージャス松野の両親はどん引き、クリスティンは挨拶もそこそこに退席する。


二日目。恐るべしババアの恥かかせセンスに怒り心頭のクリスティンは、子猫の生贄が無駄だったと毛もじゃら霊視男に詰め寄る。毛もじゃら霊視男は、知人の霊能者に可能性があると提案。但し、その人に命の危険があるため1万ドル用意するように言う。意外と安かった。クリスティンは上司に給与の前借りをさせてほしいと頼む。ないのか、1万ドル。しかし、クリスティンの案件がライバル社に漏れ、昇進は見送り、前借りも断られてしまう。ババアの幻覚に狼狽し仕事どころではないクリスティンは早退し、自宅で売れそうなモノを手当たり次第にかき集め、電動ドライバーやスケート靴などをバッグへ放り込む。そこへ出現したババアがクリスティンに襲いかかる。またかよ!! 口の中に拳を突っ込まれ、オエオエオエェェェ!! 髪の毛をごっそり引き抜かれ、首を絞められたクリスティンが貨車のロープを切断し、重りがババアの脳天をカチ割り目ん玉が飛び出す。スポーン!!


質屋で提示された金額は3,600ドルにしかならず、1万ドルには到底足りない金額。自暴自棄となり止めていたアイスクームを泣きながら食べているとゴージャス松野が現れ、1万ドルを毛もじゃら霊視男に支払ってきたと話す。なんですと!! ゴージャス松野は呪いは信じてはいないが、クリスティンの事は信じていると言う。


三日目。クリスティンは毛もじゃら霊視男に告げられた屋敷へ。そこは、40年前に少年が地獄へ飲み込まれた霊媒師の屋敷。40年前の屈辱を晴らそうとする霊媒師と、羊を連れてきた彼女の甥、毛もじゃら霊視男、クリスティンの4人がテーブルにつき手を繋ぐ。計画では霊媒師の身体にラミアを呼び込み、その手を羊に乗せてラミアを羊に閉じ込め、甥が大鉈で羊の首を斬り落とす、というもの。いや、無理だろう。


霊媒師がラミアを呼び出す。クリスティンの魂を奪う事を諦めるよう説得するが断られ、力が強いため制御できず羊に触れられない。しびれを切らしたクリスティンが霊媒師の腕をむんずと掴み羊の頭へ乗せ、ラミアの乗り移った羊が凶悪顔で「謀ったな」と激昂。アホですか!! すかさず甥が大鉈を振り下ろす。ラミア羊が後ろへ下がったため繋いでいたロープが切断され、自由になったラミア羊が甥の手にかぶりつく。ちゃんと拘束しとけ!! 甥に乗り移ったラミアは、生贄として捧げた猫の死骸をでろりと口から吐き出し、こんなもんで満足するかボケ!! とクリスティンに襲いかかる。メチャっ速で霊媒師が呪文を唱え、ラミアが甥の肉体から出て行き捨て台詞を残して消えた。霊媒師は発作を起こして倒れ、毛もじゃら霊視男のメチャクチャな心臓マッサージの甲斐なく息を引き取る。


ラミアを消し去る事に成功したと勘違いしているクリスティンに、毛もじゃら霊視男は呪いは続いていると告げ、残る唯一の方法を教える。もっと早く教えてくれよ!! クリスティンが呪いをかけられたボタンを、触らないように封筒に入れて封を閉じて返し、「今夜中にこのボタンを誰かに贈れば呪いは解ける」と言う。但し、その人物はクリスティンの身代わりに、永久に地獄の炎に焼かれる事になるというのだ。なんですとー!!


迎えにきてくれたゴージャス松野には解決したと話したが、助手席のクリスティンは上の空。衝突事故に遭いかけて封筒をバッグから落としてしまいパニックに陥るものの、紙の束から見つけ出す。翌日からゴージャス松野の別荘へ行く約束を確かめ、クリスティンは1人で深夜のダイナーへ。怒りに任せて昇進ライバル男を電話で呼び出し、クリスティンの案件をライバル社へ洩らした事を秘密にする変わりに、この贈り物を受け取るよう封筒を差し出す。しかし、彼が受け取る前にクリスティンは封筒を引っ込め、帰るように促す。店内をぼんやりと見回して、酸素吸引器をはめている老人に近づくが、仲睦まじく談笑する老妻との姿に思いとどまる。自分の身代わりにさせられる人物などいるわけがない。捨て鉢になりアイスクリームを立て続けに食べていたクリスティンは、新聞の死亡欄に目が止まり、毛もじゃら霊視男へ連絡。


毛もじゃら霊視男から、ババアにボタンを贈る事が可能だと聞いたクリスティンは墓地へ急行。途中、ババア愛用のハンカチがクリスティンの顔を塞ぎ邪魔をするが、切り裂いて踏みつけて撃退。ババアの墓を掘り始めた途端に雨が降り始め、泥まみれになりながら、クリスティンが墓を掘る、掘る、掘る、掘る、掘る、掘る、棺の蓋にカッツーン!! 蓋を開けババアの遺体の手に封筒をねじり込もうとするがうまくいかない。それどころか、ババアの手がクリスティンの髪を掴み束で引き抜く。またかよ!! 屍となってもクリスティンに襲いかかるババアと絡まり合いながらも、シャベルでババアの入れ歯をこじ開ける。クリスティンが封筒を高く掲げ、この封筒をババアに贈ると宣言し、口の中に押し込んで顎を閉じる。受け取れババア!!


その頃にはババアの墓穴へ向かって大量の雨がなだれ込み、胸元まで溜まった泥水とボロボロと崩れる穴の淵に手こずり這いれない。どんだけ雨が降ってんだか!! 封筒をくわえたババアの遺体がプカプカ浮かび、クリスティンに絡み付く。降り続く雨、掴んでは崩れ落ちる泥の淵、のしかかるババアの遺体、必死に穴から身を乗り出したクリスティンの脳天へ、墓石の十字架が直撃!! 意識が遠退きス〜ッと墓中へ沈んで消える・・・死んでたまるかとばかりにクリスティン復活。死にものぐるいで泥をかきわけ、ついに地上に立ち上がる。見たかババア!!


翌朝。ゴージャス松野との待ち合わせ場所の駅へ向かうクリスティンに上司から電話が入る。昇進ライバル男は情報を洩らした事が分かりクビ、クリスティンの昇進が決まったと告げる。呪いが解け、昇進が決まり、恋人と別荘での滞在に心が踊る彼女は、開店準備中の店員に無理を言って一目惚れしたコートを購入。そんなものを買ってないで預金しろ。婚約指輪を用意して駅で待っていたゴージャス松野は、新しいコートを見て笑いながら白い封筒を差し出す。


「あのコートに付けると思って、ボタンを持ってきたのに」


昨夜、車内で封筒を落としたクリスティンが拾い上げたのは、映画冒頭でコインを集めているゴージャス松野に彼女があげた、貴重なコインを入れた封筒だったと気づき戦慄。なんで封筒のまま持ち歩いてんだよ、コンチクショー!!


差し出された封筒から逃れるようにホームを後ずさりしたクリスティンが、足を踏み外し線路へ落下。列車がクリスティンに向かって走ってくる。クリスティンの足下に地獄の口が開き、灼熱の炎がクリスティンの身体を引きづり込む。その上を列車が通過し、必死に助けを求める彼女が手を伸ばす。全てが真実だったと悟るゴージャス松野も腕を伸ばすが列車が邪魔になり届かない。やがてクリスティンの肉体が燃え落ちていき、叫び声だけを残して炎の中へ消えていく。痛恨の思いを抱くゴージャス松野をひとり残して、地獄の口が消滅する。終わり。


■『ホワイトアウト』-WHITEOUT-
[監]ドミニク・セナ
[出]ケイト・ベッキンセール/ガブリエル・マクト/コロンバス・ショート


南極では、人の良心すら凍りつく


1957年、乗員同士の殺し合いによって旧ソ連の貨物機が南極へ墜落した。
現代の米国南極観測所アムンゼン・スコット基地。零下55度のこの地で働く唯一の連邦捜査官キャリー(ケイト・ベッキンセール) は、キャンプ地から離れた氷床で、装備もなく殺害されていた地質学者の捜査を開始。過酷な冬の到来で半年間の施設閉鎖を前に、帰国の最終便が3日後に迫る中、操縦士のデルフィ(コロンバス・ショート)、国連調査員のロバート(ガブリエル・マクト) とともに氷の下に隠された貨物機を発見、何かが入っていた“6本の筒”が奪われている事を知るが…。


隕石を探していた地質学者を含む仲間2人と基地の医師ジジイが、氷の下から旧ソ連の貨物機に残されていた6本の筒を発見、仲間割れし医師ジジイのみ生き残る。筒の中身はダイヤモンドの原石という至極地味なオチ。極寒の地に20年赴任し国に尽くしてきた見返りに、ダイヤで新たな人生を始めようと考えた医師ジジイが、点滴袋の中に原石を入れて3人の死体の中に隠して本国へ持ち帰る予定だったが、キャリーの捜査で時速160kmの氷の上を吹き荒れる嵐『ホワイトアウト』が迫る基地に居残るはめになる。医師ジジイは上着を着ずに外へ出て行き自殺。過去に金に目が眩んだ相棒に裏切られ、この仕事を辞めるつもりでいたキャリーは、転属願いを出して仕事を続ける。終わり。



■『ファイナル・デッドサーキット3D』-THE FINAL DESTINATION-
[監]デヴィッド・R・エリス
[出]ボビー・カンポ/シャンテル・ヴァンサンテン/ミケルティ・ウィリアムソン
2009年アメリカ、84分、R15+


飛び出死(トビダシ)、注意。


大学生のニックと彼女、彼女の友達、その彼氏でクラッシュを期待しているバカ丸出し男の4人は、サーキット場でダブルデート中。楽しい時間を過ごすニックだが、ベンチに走るヒビ割れや頭上のコンクリートのクラックなど施設の老朽化が目につき、漠然とした不安に苛まれる。そして、1台の車のクラッシュを皮切りに、後続車が次々と突っ込み炎上。惨状に目を奪われて立ちつくす観客たちへ向かって、タイヤやパーツが次々と飛んでくる。

フェンスが倒れ、観客たちは慌てて出口へ殺到。ニックと彼女も出口へ向かうが人が押し寄せていて近づけない。爆風で柱に叩き付けられる男、タイヤの直撃を受ける男、前方に座っていた子連れの女性はエンジンに押しつぶされ、落下してきたコンクリートで友人カップルの姿は消え、彼女とはぐれたニックの胸を鉄棒が貫く・・・。

変わらずレースが続いている観客席で白昼夢から覚めたニックは激しく取り乱す。同じ会話をしている友人、同じように前の席にやってくるカウボーイハットの男、黒人警備員を侮辱する偏見オヤジ・・・全てが先ほど見た夢と同じだと知り、事故が現実に起こる事を確信。「大事故が起こる」と叫ぶ。ニックの彼女や友人は冗談だと相手にしなかったが、次に起こる事や会話を再現し、それがことごとく正解したため友人も気味悪がる。

ニックは彼女と友人を連れて施設の外へ出ようと強引に促し、その騒動に引きずられるようにして、たまたま近くにいた観客と黒人警備員がニックの後を追う。彼らが外へ出て数秒後、爆音とともに炎が上がり人々の悲鳴が上がる。妻を中に残して出て来ていた偏見男はすぐさま戻ろうとするが、黒人警備員が引き止め、更に激しい爆発が続く。皆がニックに事情を問いただそうとした瞬間、

1)ヒュ〜〜〜〜〜〜〜〜と弧を描き飛んで来たタイヤが「整備工の妻」の後頭部へ命中、上半身がグズグズの肉塊と化し即死。

喫茶『死のカフェイン』で、50人以上の死者を出したサーキット場での惨事の報道を観ていたニックは、自分を含め9人の命を救った事実に困惑。


2)黒人警備員が引き止めたせいで、妻を救いに戻れなかったと恨みを抱く「超恨み偏見男」は、黒人警備員の自宅の庭に磔の十字架を立てようとした際、動き出した無人のレッカー車のフックが足に絡まり、漏れていたガソリンが引火。地面を引き吊られ、のたうち回りながら炎上死。

「逆恨み偏見男」の死のイメージが事前に浮かんでいたニックは、一連の出来事をネットで調べ、「本来ならば、サーキットで死んでいた」自分たちが、その順番通りに事故に遭うという法則に気づく。再び脳裏に浮かんだイメージを次の順番の人物に警告すれば、「死の運命」は変えられるのではないかと考えた。

3)閉店間際の美容院へ入る「若い母親」が、芝生へ小石を投げて遊んでいた息子2人を呼ぶ。椅子のストッパーの調子が悪く、ケーキサーバーのような鋭利なシーリングファンが天井から落ちかかり、ヘアアイロンがスプレー缶に接触し、美容師が鋭利なハサミでジョキジョキ髪を切り、床にはヘアジェルが零れ、息子たちが走り回る・・・というのは一切関係なく、芝生整備車のタイヤが、息子の投げた小石を踏みつけ、店から出ようとドアを開けた「若い母親」の右目を直撃、石は後頭部を貫通し即死。

4)ガスボンベのイメージが浮かんだニックは、彼女、黒人警備員とともに「整備工」を工場の外へ連れ出す。爆発で飛んできたガスボンベが「整備工」の背中に直撃、フェンスに全身をめり込ませて即死。

水と圧力計のイメージが浮かんだニックは「バカ丸出し友人男」を探し、ニックの彼女と黒人警備員は「バカ丸出し友人男の彼女」を探す。その頃、「バカ丸出し友人男」は1人で市民プールへ、「バカ丸出し友人男の彼女」は、フロントガラスについた鳥の糞を落とすため洗車場へ。

オート洗車場に入った「バカ丸出し友人男の彼女」は、ルーフが勝手に開き閉じ込められた車内は水没。首だけをなんとか出した姿で助けを呼んでいる所へ、ニックの彼女と黒人警備員が間に合う。

5)飛んできたゴルフボールが、「バカ丸出し友人男」のラッキーコインを弾き飛ばし、チャッポーンとプールの底へ。拾いに潜るが、直前に排水溝の網が破損しており、排水溝に尻がすっぽりと吸い込まれて動けなくなる。呼吸が苦しくなる中、圧力が最大となり、肛門から吸い込まれた内蔵が圧力計から飛び出し死亡。

ニックとニックの彼女は、次が自分の順番だと知る「黒人警備員」の自宅へ行き、自殺を図っている場面に遭遇。薬を大量に服用しても、自動車の排気ガスを吸い込んでも、ロープで首を吊っても死ねないと洩らす彼の言葉に、「バカ丸出し友人男の彼女」を救った事で「死の運命」が変えられたのだと喜ぶ。そんなワケなかろう。翌日、ニックの彼女と「バカ丸出し友人男の彼女」は映画へ。ニックはサーキット場で重傷を負って入院していた「カウボーイハットの男」のニュース映像に、彼も死んでいたはずの人物で、次が彼の順番だったと思いつく。ニックと黒人警備員が病院へ急行。

6)温水療法中のジジイの部屋から介護士が出て行き、小さなプールほどの浴槽から湯が溢れ出す。天井の水漏れに気づいたカウボーイハットの男が這って逃げようとしている所へニックたちが到着、天井とともに落下してきた浴槽の直撃で「カウボーイハットの男」は即死。

蛇のイメージが浮かんでいたニックは、それが救急車の車体に描かれた「アスクレピオスの杖」だと気づくが、
7)「黒人警備員」が撥ねられ、全身が木っ端微塵で即死。

次に火事のイメージが浮かびニックは映画館へ急ぐ。ニックの彼女たちのいる劇場は工事中で、太陽光線が作業員が放置した凹面レンズ当たり、おがくずが燃え出す。ニックが2人を見つけて呼ぶが、「バカ丸出し友人男の彼女」は脅える事にうんざりしており逃げようとしない。映画の爆発音とともにスクリーンの後ろで有毒物質の缶に引火し大爆発、無数の釘が「バカ丸出し友人男の彼女」の顔面を串刺しにして死亡。

逃げ惑う観客たちと施設内を急ぐニックと彼女。エスカレーターに彼女の足が挟まれ、真ん中から下のステップが破損。その下で芝刈り機の歯車のような鋭利な刃が高速回転するところへ、ニックの彼女が宙づりとなる。ニックが必死に引き上げようとするが、巻き込まれた足がガリガリと砕かれていき、血を吐きながら力尽きて、肉塊となり飛び散る。

・・・という予知夢から覚めたニックは劇場へ。火事が起こる現場へ入るが、電動釘撃ち機の乱射で右腕を壁に打ち付けられ身動きが取れなくなる。アホか!! 漏れた油に引火し、火のついた長い棒を持ち上げたニックは、スプリンクラーに近づけ、山と積まれている危険物のドラム缶が引火する寸前で食い止める。

8)9)10)ニックが劇場にいた人たちを救い、死の運命も回避し全てが終わった事でホッとした3人は『死のカフェイン』で談笑。しかし、ニックが気づく。「劇場で死なないというのも死の筋書きの一部だったとしたら・・・」。猛スピードで店へ突っ込んできたトラックが3人を轢き殺す。終わり。