一生に一度体験4

続き。エステでしっとりツヤツヤになったところで、夕食まで時間があるので大浴場へ。脱衣所にタオルがどっさり用意されており、冷水機もある。コットンやヘアエッセンスなど女子のお手入れアイテムが勢揃いで、本当に何も持っていかなくても大丈夫。大浴場はコレと言って特徴のない、フツーに気持ちのいい内風呂と露天風呂の2つ。まったく、この日は灼熱地獄で汗みどろだった。早速シャワーを浴びると、肌が水を弾く、弾く、さすがエステの効果!! お湯が玉になって肌をコロンコロンと滑る、滑る、イヤ〜ン若い子の肌みたーい。と、浮かれていたら、マッサージに使ったオイルが水を弾いてるだけだった。しっとりツヤツヤじゃなくて、オイルでテカテカしてただけか!!


大浴場を出て正面に「サロン」があり、半分喫茶店、半分リラックスルームのような空間。スタッフが「冷たいお抹茶か、冷たいレモンハーブティのご用意がございます」と聞いてくる。うっそ、タダ!! マッサージチェアがあったので、5分100円か10分200円かチェックしようと近づくと、これも無料だった。マジでー!! マッサージチェアし放題。サロンにはマッサージチェア3台、歯医者のベッドみたいなリラックスチェアーが4つ、その他椅子やテーブル、有料の個室のマッサージなどあり。ここも携帯電話禁止でとても静か。


お抹茶よかハーブティの方がマシだと思い、お願いして座って待っていると、江戸切子のグラスに入れられたハーブティが運ばれてきた。江戸切子!! レモンハーブティの清々しい酸味が、びっくりするほど美味しい。そのうち小学生くらいの男の子が家族と入って来て、先ほどのスタッフが男の子に「アップルジュースもございます」とのこと。ハーブティも美味しいけど、私にもアップルジュースを聞いてくれよ!! 男の子は「冷たい抹茶をお願いします」と丁寧に答えてた。カーッ、育ちが違う!! マッサージチェアで足をグリグリ、腰をグイグイ、背中をゴーリゴリと揉みほぐして部屋へ戻ると、またもや、エレベーター前と部屋の前の廊下にいた仲居さんに声をかけられた。1人ずつ待機しているとは恐るべし。ちなみに朝はエレベーター前にはいなかった。


19時5分前に仲居さんが夕食の迎えにやってきた。直接旅館へ来た1組も年老いた母親と30代(だと思う) の娘で、私と姉も含めて当選者と友人の参加は1組もなく、全員が身内ときている。なんで!! 平均年齢は52才といったところ。なんかこう、親孝行ツアーのような光景だ。私の隣の席はお嫁さんとお姑さん。お嫁さんが「アメニティー、ルミコでしたよね〜」と話しかけてくる。


・・・小柳?


ポカーンとアホヅラしていた私に気づいたか、「RMK」が海外で成功した日本人ルミコのブランドだと教えてくれた。へぇー。1人の母親が「足が悪くて正座できない」と分かるや、即座にスタッフが座卓用の低い椅子を持ってくる。私はお酒が飲めないのでお茶を頼むと、急須を置いていってくれれば自分でやるのに、いちいち注ぎに来てくれる。主催者の挨拶、まぶたに目玉の絵を書いたような最強目ヂカラを持つ女将の挨拶があって、待ってました!! ついに食事が一品ずつ運ばれてくる。


先附「ウニとその他もろもろ」
八寸「鱧寿司とその他もろもろ」
椀「色々と美味しい事になってた海老しんじょう」
向附「蒸し鮑、石鰈(カレイ)の薄造りと色々」
焼物「骨を抜いた鮎塩焼きと、頭尾中骨の唐揚げ」を、緑鮮やかな蓼酢ですっきり。なんだ蓼酢って。仲居頭に聞くと「蓼食う虫もすきずき」(辛みの強いタデの葉を食べる虫があるように、人の好みというのはさまざまで複雑きわまりないこと。by実用ことわざ小事典) の蓼の葉をすりおろし、お酢を加えたものだそう。へぇー。毎週土曜テレビ朝日で10時55分「食彩の王国」12日放送分でも、鮎の塩焼きに蓼酢を用意してた。蓼は笹の葉みたいな感じ。へぇー。
進肴「無花果胡麻よごし」
焚合「豚肉の蕎麦米あんかけ」


ここまできてやっとご飯。食べられるのか!! すいませーん、タッパー持ってきてくださ〜い。ともかく、これを逃したら二度と食べる機会はないだけに、死ぬ気で食べるべし、食べるべし、食べるべし!! えーと、炊き込みご飯と茄子と白葱の味噌汁、香物盛り合わせ。大きな梅干しは売店にて個包装9個入りで2千百円。お梅干しさまと呼ばなくてはいかん。そして最後に果物。ゼリーの中に桃が入っていて生クリーム添え。バケツ大で食べたいくらい美味しい。わくわくするほど目で楽しく、優しい香りに別世界に飛んでって食感にハッとする、シンプルな見た目から想像もつかない旨味に感動。とても食べきれないような量が、年寄りたちでもするすると食べられる素晴らしい料理の数々。満腹だけど全然胃にもたれてない。くー、至福。


今回のためにデザートをもう一品用意してもらったという事で、最後にもちもち肌をイメージした大福が出てきた。先附から果物で完璧なコースだったのに、余計な事を頼みやがって!! マンゴーと生クリームの酸味と甘みで美味しい。もう、美味しいとしか分からない。


食事を終えたのが21時。部屋へ戻ると電気式アロマライトが点いていて、室内は良〜い香り。布団が敷かれており、近くに保冷式のミニポットとグラス。枕元には目覚まし時計と懐中電灯が用意。そんなもんまで!! ゴロゴロとしばらく休んで、22時40分に大浴場へ。サロンのお茶サービスは終わっていたけど、マッサージチェアでグリグリと揉んで、23時30分に就寝、2秒で爆睡。


・・・4時30分にぐぅ〜きゅるきゅるきゅるきゅる〜とお腹が鳴ってバチッと目が覚めた。ホントかよ!! 続く。