6月鑑賞の映画感想

■『ハングリー・ラビット』-Seeking Justice- ★★★☆


[ストーリー] 未解決の殺人事件が続くニューオーリンズ。高校教師ウィル(ニコラス・ケイジ) は、チェロ奏者の妻ローラ(ジャニュアリー・ジョーンズ) と、平凡ながらも幸せな日々を送っていた。ある夜、ローラが暴漢に襲われ病院へ運ばれる。悲しみと怒りで混乱するウィルの前に、謎の男サイモン(ガイ・ピアース) が現れ、「犯人は分かっている。代わりに殺してやろうか?」と持ちかける。法律が定める量刑では見合わない犯罪者に対し、正義の組織が執行する代理殺人の契約だった。見返りは後で簡単な頼みを引き受けてくれればいいと言う。悩んだ末に承諾したウィルは、ほどなくして契約が実行されたと知る。


それから半年後。サイモンからの連絡を示す『空腹のウサギは跳ぶ』という電話が入る。今度はウィルがある犯罪者を殺せというのだ。命令を拒否した彼は遂に殺人犯として指名手配されてしまう。ウィルは無実の証拠をサイモンに握られたまま、社会に紛れ込む謎の組織のメンバーの追跡をかわし、自らの潔白を証明しようと奔走するが・・・。ロジャー・ドナルドソン監督、トビー・マグワイア製作、105分。


[コメント] 約束がちがーう!! 金で解決する「怨み屋本舗」に頼めばいいものを、タダより高いモノはない。ご契約は慎重に!! ど素人にはとても無理ではないかと思う、殺害方法を指定してくるサイモンは、ホント無茶を言う。組織の存在が表に出ないのは一応説得力あり。特別な才能や武術の心得もない平凡な中年の男ウィルは、脇役だけが死んでいく強運と、謎の組織の手抜かりの連続で、ぎりぎり普通の男なりの頑張りで真相に近づいていく。国語教師だった事が役立ち「さすが」と感心させる場面があるものの、これがストーリー上まったく影響がない。どういうワケ!! 映画の内容はアクションも予告編の映像でほぼ全て。予想から1ミリもズレてない見事にありきたりのストーリー。驚くほど裏が何もない。最終的には「ニューオーリンズだから」の一言で片付けられる。そりゃないだろう。どんな言われようなんだ、ニューオーリンズ


新作の度にハゲラインが微妙に違う、疑惑の男ニコラス・ケイジ!! ホントか。仮面をつけたダンスシーンで、隠れきれない生え際の余白がビカーッ!! ニコラス・ケイジだと丸分かりなので嬉しくなる。若く美貌の妻ローラ(「アンノウン」の奥さん役の人) よりも目を惹く。さすが、生え際の男ニコラス・ケイジ!! それなのに、この男は逃亡中に帽子を被らない。アホか!! 手の平で顔を隠してこそこそするより、額を隠した方がバレと教えてあげたい。ほっとけ!! ウィルは人を殺させているし、人が死んでいるし、無実の男ではないんだけど、犯罪被害者が悪人どもに制裁を下す「ブレイブ・ワン」のラストのような、釈然としない不満感はなかった。「LOST」のマイケル(ハロルド・ペリノー) が校長先生役で出演。


■『臨場 劇場版』 ★★★☆ シリーズを欠かさず観ていた者としては複雑な気持ち。


■『スノーホワイト』-Snow White & the Huntsman- ★★★


[ストーリー] 国王と王妃に大切に育てられ、民から愛される心優しいプリンセスに育ったスノーホワイト。しかし、病弱な王妃が亡くなり、国王は謎の騎士に捕われていた美しい女性ラヴェンナ(シャーリーズ・セロン) に心を奪われ妃に迎え入れる。国王を殺し女王となったラヴェンナは、腹心の弟フィン(サム・スプルエル) を招き入れ国を乗っ取り、スリーホワイトを幽閉する。


それから7年後。ラヴェンナ女王は永遠の美貌を保つ鍵が、自分よりも美しく成長したスノーホワイト(クリステン・スチュワート) の心臓にあると知るが、彼女は隙を見て王宮からの脱出を果たす。女王は自らの魔力が及ばない「黒い森」へ逃げ込んだスノーホワイトを捕らえる為、この森に精通するハンターのエリック(クリス・ヘムズワース) に追跡を命じる。一方、幼少の頃からスノーホワイトに思いを寄せる、幼なじみのウィリアム王子(「パイレーツ・オブ・カリビアン3」の宣教師) も、彼女を探しに黒い森へ向かうが・・・。ルパート・サンダーズ監督、127分


[コメント] 「鏡よ、鏡。この世で1番美しいのは誰?」「今日からはスノーホワイトです」・・・って、ちょっと待てコラー!! シャーリーズ・セロンより、クリステン・スチュワートが美しいワケがないだろう。魔法の鏡の美の基準はどうなってる。その目は節穴か!! 目はないみたいだけど。1997年公開のシガーニー・ウィーバー版もある意味強烈なインパクトがあったけど、シャーリーズ・セロンの美貌が炸裂し、この女王様なら何をしようがオッケー!! というか、悪行はほとんど描かれない。チンケな脚本を目線ひとつで補ってスクリーンに釘付けにする。各種コスプレ姿も美しい事、目を奪われる事!! ラヴェンナ女王サイドから物語を描けば、断然新しい映画になったと思う。


何が酷いかと言えば、クリステン・スチュワートの表情が乏しく辛気くさい。常に口は半開きで、口を閉じているのは死んでる時だけ。イケメン王子の存在感の薄さは今年1番。女王以外で面白そうなキャラクターだったのは女王の弟くらいで、出番少なく残念。とりあえず、ある場面で「もののけ姫かよ」とツッコミを入れること請け合い。


■『ダーク・シャドウ -Dark Shadows- ★★☆


[ストーリー] 英国から米国へ移民し港町の礎を築いたジョシュア・コリンズが、15年の歳月を費やし完成させた壮麗な屋敷コリンウッド。その息子で女好きのバーナバス(ジョニー・デップ) は、魔女と知らず使用人のアンジェリーク(エヴァ・グリーン) にも手を出す。バーナバスが初めて愛する女性ジョゼット(ベラ・ヒースコート) に出会えた時、選ばれなかったアンジェリークは怒りで彼に呪いをかけ、不死のヴァンパイアに変え、棺に閉じ込めて生き埋めにする。


それから200年後の1972年。偶然、棺から解放されたバーナバスは、ヴァンパイアである事を隠し、落ちぶれた子孫らに対面する。手入れの行き届かない屋敷で暮らすのは、女家長のエリザベス(ミシェル・ファイファー)、彼女の反抗的な15歳の娘キャロリン(クロエ・グレース・モレッツ)、エリザベスのろくでなしの弟ロジャー(ジョニー・リー・ミラー)、彼の10歳の息子デヴィッド、息子の精神科医(ヘレナ・ボナム・カーター)、新任の家庭教師、老家政婦、唯一の使用人のウィリー(ジャッキー・アール・ヘイリー)、以上8人。父が発展させた町は、いまやアンジェリークが牛耳っていたのだ。バーナバスは家族が財産だと言った父の言葉を胸に、アンジェリークから子孫たちを守り、一族の繁栄を取り戻そうと奮闘するが・・・。


[コメント] 復活したところまではスピーディーだったけど、そこから何でもかんでも盛り込みすぎた。バラバラになっている家族の団結、200年の社会生活のズレ、一族のかつての繁栄を取り戻す、魔女との対決、唯一愛した女性に瓜二つの女性との関係、子孫に隠された秘密、ついでに人間に戻りたい。主要人物も多い。弟と精神科医と老家政婦は居なくていい。いくら何でもジョゼットの出番が少ない。そして、家族が財産と言いつつ冷たく切り捨てるバーナバス。もうワケ分からん。


■『ロボット』-Enthiran/The Robot- ★★★☆


[ストーリー] 天才工学博士バシー(ラジニカーント) は、10年に及ぶ研究の末に、自分と瓜二つの高性能の二足歩行ロボット、チッティー(ラジニカーント2役) の開発に成功する。ところが、恩師ボーラ(ダニー・デンゾンパ) の妬みを買ってしまい、更に人間の感情をプログラムした事で、チッティーはバシーの婚約者であるサナ(アイシュワリヤー・ラーイ) に恋してしまう。腹を立てたバシーはチッティーを破壊するが、ボーラが廃棄されたチッティーを回収し、最強の殺人兵器へと改造する。チッティーはサナを拉致し、邪魔となる人間たちを抹殺していくが・・・。シャンカール監督、特別編集版139分(完全版は177分)



[コメント] 60歳超えの“スーパースター”ラジニカーント+最強レプリカ軍団+“元ミス・ワールドアイシュワリヤー・ラーイの、歌って踊って破壊の限りを尽くす超SFアクション。前半は高性能のロボットのおトボケ&身体能力を駆使した活躍、中盤は人間の感情を持った事による悲恋・・・と、ここまでは案外マトモ。後半はフツーのおっさん顔だったチッティーが、Vシネマばりの極悪ゴムマスク面になって大量出没。最凶のストーカーと化したチッティーの怒りの大暴走へとなだれ込む。クライマックスのレプリカ軍団の合体フォーメーションなどやりたい邦題。人数も大幅に増えて? いきなり巨大化。本気のムチャぶりで隅々まで目が離せない。とんでもない事態へと発展しながら、最後はきっちりと引き締めてくる。興行収入100億円はダテじゃなかった。


親しみやすい超絶美人のヒロインの魅力爆発。スタイル抜群、ダンスもセクシー。まぶたに書いた目の絵かと思うくらい、日本人の3倍は目がデカイ。もう、目玉がこぼれ落ちそう。25歳くらいに見えたけど、衝撃の1973年生まれ。彼女こそロボットに違いない。この現役バリバリ美女の姿は公式サイトの予告編で確認されたし。完全版の予告編を見ると、世界各地で歌って踊っている場面がカットされてるみたい。面白かったけど私は139分で満腹。


■『キラー・エリート -Killer Elite- ★★★☆


[ストーリー] 凄腕の殺し屋ダニー(ジェイソン・ステイサム) が、仕事にうんざりし足を洗ってから2年後。恋人と静かに暮らしていた彼の元に、かつての相棒で殺しの師でもあったハンター(ロバート・デ・ニーロ) が捕われた写真が届く。彼を解放させるには、ある暗殺に関わったとされるSAS(英国特殊部隊) の3人を、事故死に見せかけて殺すしかない。ターゲットの3人を特定するため、ダニーは仲間2人と共に調査を始めるが、いち早く察知した元SASの精鋭スパイク(クライヴ・オーウェン) がダニーたちの動きを掴む。


引退したSAS隊員を報復から守る秘密組織「フェザーメン」の指示を受け黒幕を探るスパイクと、スパイクの存在を知り素性を探ろうとするダニー。プロの殺し屋同士の追跡劇は、双方に犠牲者を出しながら凄惨さを増していくが・・・。SASに所属した経歴を持つラヌルフ・ファインズ『キラー・エリート』原作、ゲイリー・マッケンドリー監督、117分


[コメント] 二枚目ハゲの無敵のアクション野郎ジェイソン・ステイサム、予想外にアクションもイケるクライヴ・オーウェン、行きがけの駄賃のようなロバート・デ・ニーロ、3大スターの共演。ターゲットの3人は「事故死に見せなくてはならない」という条件が興味をそそられる。世間話でもするように、淡々と仕事を進めていく殺し屋たち。1人目の殺害方法の手製の凶器が恐ろしくリアル。これはうっかり事故死!! 間違いなく事故死!!


アクションではジェイソン・ステイサムの、椅子に縛られたままのジャンピング背面アタックが炸裂。カッコイイー!! その椅子に縛られた姿のまま、いきなり窓をぶち破って脱出するのだ。行くか? フツー!! しかし怪我などしない。いくら撃たれようが弾が当たるわけがないという堂々ぶり。後半にもうひと盛り上がり欲しい。


■『フェイシズ』 -Faces in the Crowd- ★★


[ストーリー] 生徒に慕われる幼稚園教師のアンナ(ミラ・ジョヴォヴィッチ) は、“涙のジャック”と呼ばれる、連続殺人鬼の殺害現場を偶然目撃してしまう。犯人と格闘した彼女は一命を取り留めるが頭部を損傷し、人の顔や表情を識別できない「相貌失認」となる。結婚を控えた恋人ブライス(マイケル・シャンクス) も、長年の親友たちも、鏡に写る自分の顔すらも認識できない。捜査を担当する刑事ケレスト(ジュリアン・マクマホン) は、唯一の目撃者であるアンナを警護するが、彼女は犯人が隣に居ても気付かないのだ。アンナの障害を知り痕跡を残していく犯人の気配に脅え、彼女は次第に恐怖に囚われていくが・・・。ジュリアン・マニャ監督、120分


[コメント] 容疑者が少ない映画でありながら、アンナが目撃した事件と、その次の事件で早々に除外されてしまい、残るは1人しかいない。ニューヨーク中を震撼させた連続殺人鬼が、そんな詰まんない犯人でいいのか。目立つ場所で大っぴらに犯行を繰り返し、隠蔽工作をしているわけでもないのに捕まらない。「涙のジャック」の背景が何もない。むしろ出番すらほとんどない。というワケで、謎解きの要素は皆無。恐ろしいほどあっさり。肝心な「相貌失認」も生かしきれず不完全燃焼。ミラ・ジョヴォヴィッチのキャストミス、ショボイ犯人、酷い脚本、蛇足のエンディング。許さん!!