傘ぽん

今日は、朝のうち雨が降っていなかったせいか、傘を持たずにいる人を何人か見かけたのだけど、その中でサングラスを水滴だらけにしている男性を発見。んー、ワイルドだ。この派手な濡れっぷりからもう、目が離せない。

前から歩いてきたこの男性と10メートルくらいまで近づいたので、じっくり観察してみたところ、だいたい20〜25才くらいと思われる。彼はここまで濡れてから、ようやく見えにくいという事に気付いたのか、サングラスに手をかけた。そして、(乾いた布で拭いてから仕舞わないと、錆びちゃうよ〜)と見守るババアの心配などよそに、なんとヒロシスタイル(ド根性ガエル)に変更。さすが若者、雨よりファッションだ。

私も昔は雨が降った日など、「髪が膨張して始末におえん」とか、「濡れたスカートのまま座るとパンツが湿る」とか「パンプスが蒸れて足が臭いから、お座敷は勘弁して」などと、見てくれが悪くなる(?)事に頭にきていたものだけど、最近の雨の日の悩み(というほどではない)といえば、もっぱら手の平が乾く事だ。

例えば、 スーパーなどで買った物を袋に詰める台の上には、今ではほとんどの店で濡れ布巾が置いてあるので、困ることはないのだが、ごくたまに布巾が乾いてしまっている台に、カゴを置いてしまった時が技の見せ所。購入した湿り気のある野菜を“さりげなく”触って指を濡らし、涼しい顔して袋を開ける。指を舐めている同じ台のオバさんらを横目に、私は指先を濡らさなくても、袋を開けられるわよ〜、という若いフリをするのだ。んー、我ながらバカバカしい。

そして、雨の日の試練が建物の入口に置いてある使い捨ての傘袋。吊り下げられた束から1枚ずつ引きちぎる昔タイプのものだと、まず指先が引っ掛からない。「えい、クソ!! 」とばかり強く引きちぎると、3枚ぐらい取れてしまい、捨てるワケにもいかず、使用済み袋入れのゴミ箱の淵に引っかけるハメになる。そのゴミ箱の背当ての部分や淵にべろんと引っかけてある袋の数々は、私と同じような失敗した人に違いない。じゃ、最初からそれを使えよ、私。

何とかして袋を取れた後の最大の難関が、傘を入れるために袋を開ける作業だ。これが擦っても擦っても隙間が出来やしない。袋を引きちぎった後に運良く開く場合もあるが、大抵は一分の隙もないほど密着している。それを、歩きながら傘を入れようなどと考えてはいけない。傘を収め終わらないうちに建物の中に入ってしまう事になるからで、私は必ずその場で入れていくようにしている。そして、あまりの開かなさぶりに、もしやこの袋は上も下もマチなのでは? などと袋のせいにした頃に、ようやく開いたりする。

そんな指先乾く年寄り達の悩みを知ってか知らずか、 最近は吊り下げタイプより、輪の中に傘を突っ込むと、自動的に袋をかぶせてくれて、後は手前に引き出すだけ、 という「傘ぽん」なるものの方が多くなった(と、思う)。

ところが、この傘ぽんの仕組みを理解出来ず見えている袋を取ったか、どこかで詰まってしまったのか、輪に入れ引き出しても、傘が袋に入っていない事がよくある。仕方なく、私も下から袋を引きちぎるのだが、こうなるとまた、うまく1枚の袋を取れなくなるので、最近では傘ぽんだろうが、吊り下げタイプだろうが、傘を閉じた時点で、これまた“さりげなく”傘を触り指先を濡らす事にした。これなら1発で1枚を取れて、袋を開けるのもラクラクだ。

この作戦もたまに失敗する事がある。袋入れ場が混んでいて、自分が取ろうとした時には指先が乾いてしまっていた場合などだ。この時には、指先に湿り気を補充するため、もう1度傘を触らなくてはならない。

指先を舐めるのと、傘を触って湿られるのと、果たしてどちらが格好悪いのか。んー、傘袋前にも、濡れ布巾を置いて欲しいものである。