正しい大便の採り方

会社の健康診断に今年から大腸癌検診が加わった。対象者には事前に採便キットが手渡され、会社にウンコを持参をしなくてはならないのだ。しかも2日分を採便するので、1人当たり2ウンコとなる。自宅で2ウンコ、車通勤なら密室で、電車通勤なら混み合った電車内で、それぞれのカバンの中には2ウンコずつ仕込まれている。

対象者は何人いるんだか知らないが、500人だとして1000ウンコが会社に持ち込まれ、社内はウンコだらけとなるのだ。恐るべし、2ウンコ。何かの陰謀かも知れない。

早速、「正しい大便の採り方」という説明書を読んでみると、残念ながら? 子供の頃やった検便みたいに容器にウンコを詰めていくのではなく、それはギョウ虫検査か。この「便潜血反応」検査というのは、採取用の棒にウンコをチョチョイとつけていくだけでいいらしい。恐ろしく簡単だ。時代は進んでいたよ。

ところが簡単と思われた棒でチョチョイも、採取キットに添付されていた説明書の注意点を読むと奥が深い。採便は困難を極めるミッションインポッシブルなので、若い皆さんの今後の為にも是非とも紹介しようと思う。

※2日法なので同じ便を2回採るのではなく、検診前3日以内に日を変えて2回採便して下さい。

日を変えて2回もか。1日1回チャンスがあるとして、3回のうち2回成功しなくてはいけないのだ。しかも当日は朝食が食べられない。食べずにウンコが出るか!!

となると、用心の為には前日と前々日のウンコを確実に採取しなくてはならなくなる。2回のうち2回。しかも半ピー(半分ピーピー)ならまだしも、完ピー(完全ピーピー)なら棒でチョイチョイも出来ん。緊張のあまり、今ウンコが出そうだ。採ってしまうか?

取りあえずイメージトレーニングをしとこう。 カンカンカンカン(ウンコ警報発令)、便所へゴー。ぷりり、棒でチョチョイ、指さし確認よーし。任務完了、ザッバーッ。完璧だ。

※容器についてくる棒で便の表面をまんべんなくこすることが必要です。また便をトイレの水につけないで下さい。

なんてこった。最近はどこも洋式便器ばかりだし、うちも洋式だ。洋式便器でどうやって水につけないようにするんだ。便器事情が分かってんのか、コラ。水もダメだが、トイレ洗浄剤はもっとダメらしい。ブルーレットでまっ青の洋式便器のうちじゃウンコが出来ないではないか。

いちいち和式便所を探すのか。ピンチの連続だ。新聞紙にするとか。便器で小便した後、新聞紙でウンチ。新聞紙だと小便が堤防突破で下流に流れていく心配がある上に、ピーだったら大洪水間違いなし。災害対策本部が必要だ。公衆トイレとか。この際、野グソしかないかも知れん。採便も大冒険の時代だ。

そして一番不可解なのが、

※和式トイレの場合は、折り畳んだトイレットペーパーを敷き反対に座ると良いでしょう。

はて?? 日本語が分からなくなったか、私。便器の底にトイレ紙を敷いて、前後逆に座ってウンコしろって事だと思うんだけど、逆に座ったらウンコが穴に落っこちないか??もうわけが分からない。

すると、反対に座るというのは、和式ではなく洋式便所の印刷間違いではないかというメールを頂いた。それなら話は分かる。便器の坂の途中にウンコを張り付かせて採取するという方法なら、出来そうだ。急に目の前が開けてきた。問題は股関節が固い私ではお股が痛そうなのと、便器後方からウンコが飛び出しやしないかという事だ。

早速今日から練習しよう。それと採便日がコロ便だったら、コロコロっと転がってしまう。軟便熱望。

※採便後の検体は、直射日光のあたらない、風通しのよいところに保管して下さい。

窓際か、リビングか、玄関か、はたまた会社の引き出しに入れとくか悩み多き大腸癌検診。果たして無事に2ウンコ採れるのか!?