要観察人物、1号・2号

コンビニの入口にあるゴミ箱前で、若い女性がこちらに尻を向けて立っていた。そんなトコで何をしてるのかと角度を変えて近づいてみると、なんと彼女はゴミ箱の上に弁当を置いて、立って食べていたのだ。要観察人物1号決定!!

こういうのはしっかり見なくてはいけないと思い、もっと近づくと、彼女が食べていたのはナポリタンと判明。 一瞬にしてその場を立ち食い蕎麦屋の雰囲気にさせてしまうとは、恐るべし若者。

ゴミ箱はテーブル代わりには高く、台は傾斜している。 しかも、よく見ると彼女はフォークで食べているではないか。外でナポリタンとは、ある意味、そこはオープンカフェ。お洒落だ。

コンビニの周囲には座るところがあるというのに、何故だ。何故そんな難しいトコでナポリタンを食べているのだ、君は。気持ちが分からないぞ、若者。気持ちを探る為にも、もうちょっと観察したかったのだが、私も腹が減ってたので残念ながら1号の観察はこれにて終了。終わりかよ!!

話は変わって、近所に和菓子喫茶が出来たので、一度茶でも飲みに行こうと思う間に休業日が増え、次にシャッターが開いているのを見た時にはラーメン屋になっていた。

仕方ない。ラーメンを食べに行こうと思った時にはまたもや休業日が増え、次にシャッターが開いた時には、別のラーメン屋になっていた。ジャジャジャーン、ジャジャジャー、たららら〜、タンタンタンタンタンタン♪立川サスペンス劇場『呪われた店舗』!!

素人探偵がたまたま混浴温泉バスツアーに参加、その温泉の美人女将には封印した過去があり、謎の死を遂げた夫の親友が犯人で、のれんに隠された陰謀をチョビヒゲ探偵が暴くんだな。ってか、閉店原因は人通りがないだけだろ。

前の2店では食べる隙もなかったので、今度の店は潰れる前に入る事にした。この店は主人と女性店員の2人で営業していて、どうやら韓国人らしい。麺は手打ちだし、ついにこの店舗が繁盛する時が来たかも知れないと期待しつつ、勢いよくガラガラガラ〜(戸を開ける音)

がっら〜ん・・・

止めときゃ良かったと思った時には座る体勢を止められず、麦茶を飲みながら覚悟を決めて待っていると、中年夫婦が入ってきた。2人は注文した後、妻がバッグから薬を出し、水をくれと言って出された麦茶をそのまま店員に返す。

麦茶を返された店員は、見るからに頭の上がクエスチョンマークだらけになったようで、取りあえず電子レンジに近づいている。要観察人物2号決定!!

どうやらラーメン関係以外の日本語は、からきしダメらしい。頼んだ妻の方は店員を見ちゃいなかったので、ここは私がしっかり見なくてはいけないと思い、じっくり観察していると、レンジに麦茶を入れ30秒ほどセットした。

30秒後。微妙なぬるさだと思われる麦茶を出された妻は驚いて、「水よ、水、水、水」と水を連呼。水が分からないから麦茶が温められてるんだよ。

夫の方が助け船を出し「お冷や、お冷やだよ。分かる?」

分かる?って、水が分からないのに、お冷やが分かるワケないだろう。
しまいには妻が高くかかげた薬を指さし、「これ、ク・ス・リ。この薬飲むの。だから水ちょうだい」と一語ずつ区切って大声に。ゆっくり話そうが、薬を見せようが、余計に分からんて。

その後も水とお冷やを連呼する夫婦と、ポカーンとしている女性との距離は果てしなく遠く、妻は立ち上がって水道を指差し頑張った。このまま水が出ないと、観察に忙しくてラーメンに集中出来ないではないかと思った頃、ようやく水が出され、私のラーメンも運ばれてくる。

これで安心して食べられるという事で、2号の観察もこれにて終了。ふぅ・・・ってか、ラーメンマズっ。恐ろしく、マズっ!!

久しぶりにこの店の近くを通るとシャッターが閉められ、貼り紙がしてあった。ははは、やっぱり潰れたか。短い命よのう、お前さん。大急ぎで通りを渡って貼り紙を読んでみる。

「貴重な食材の調達の為、お休みします。」