旅行10 3日目、バイヨン寺院

旅の3日目の続き、昼食後。



■13:20〜15:20
  
3) 「バイヨン」Bayon (見学時間目安90〜180分) ★★★★★
創建[第一次アンコール都城(900年頃)、勢力分裂から国内統一(1000年頃)、内乱・戦争で混乱(1100年頃)、◎クメール文化の頂点(1200年頃)]


チャンパ王国支配下にあった王都を奪還した、ジャヤヴァルマン7世が築いた城塞都市『アンコール・トム』の中心寺院として、12世紀末に建立。大乗仏教を篤信していた王は、49基の巨大な観世音菩薩の四面仏塔を造りあげた。ジャヤヴァルマン7世、バンザイ!!


アンコール・ワットと同じく、バイヨンも古代インドの世界観の中で、宇宙の中心にそびえる想像上の山“須弥山”を象徴したもの。ウは宇宙の中心のウ!! 日本では、京都『霊雲院』の九山八海の庭にある遺愛石が有名。同じウチチュー山を表したものでも、大盛りマグロ丼と、卵かけご飯くらい違っていて面白い。やっぱり日本人のわびの美は、卵かけご飯で。って、私は何様なんだよ!! ちょっと図に乗ってみました。


                



     
テラスのデヴァターと、回廊の列柱に彫られたアプサラス(天界の踊り子) 。



     




バイヨンの外回廊は、クメール軍とチャンパ軍の戦闘場面が、内回廊には神々の物語や王宮内の様子が表されている。象に乗った司令官のもと、槍を手に戦うクメール軍や、人々の暮らしや狩猟、歌や踊りを楽しむ様子も見られる。勝利を祝う宴会用に、豚を丸ごと調理する場面なども描かれている。



    
4次にわたる計画変更により、屋内は迷路のような複雑な構造。なんとなく歩いて、なんとなく中央付近ばかり。色々と見逃している気がするけど、どう進んで行けば、ひと通り観られるのか分からない。方向音痴の私の脳内方位磁石がグルグル回り出す、脳みそ大混乱の危険地帯。



バイヨンには52基の塔があって、49基には4面に巨大な顔が彫られる予定だったらしいが、そのうち9基には3面、1基には2面しか彫られていない。
                         
「クメールの微笑」と言われる巨大な四面仏塔。ぽってりと厚い唇、アーモンドの形の目、ペヤングのような四角い顔。仏像の顔が鏡の迷路に迷い込んだような、右も左も前も後ろも巨大な仏の顔、顔、顔だらけ。私の脳内顔認識ソフトによれば、京唄子とか、三宅裕司とか、佐藤二朗とか、ピグモンとか、なんとなく馴染みのある顔に似ている気がして、不思議と穏やかな気持ちになる。ホントかよ!!


ざっくりと観て回って2時間。2時間ではとても観終わらなかったけど疲労困憊で、もう1度別の日に訪れようと考えて出口を探す。


敷地も建物も真四角のバイヨンの出入口は、東西南北の各辺の中央に、いちいち同じような造りで4箇所ある。漢字の「回」の文字を十字に4等分したような感じ。分かりやすいようで、超絶方向音痴の私には恐怖を感じる無限地獄。正門は「東門」だけど、運転手との待ち合わせ場所の確認で、北口でトゥクトゥクを降りた。運転手は北へ400mくらい離れた場所にある、トゥクトゥク待機スペースで待っていてくれる。


巨大な四面仏塔に囲まれたテラスから地上は見えないので、北の方角をバッチリと確認してから屋内へ。まっすぐな階段を降りただけで、もう自分がどの方角を向いているのか分からない。北はどっちだっけ。無事に待ち合わせ場所へ行けるか緊張してきた。とにかく、自分が入ってきた北口に出なくてはいけない。


記憶をギュウギュウ振り絞って、北口だと自信がある門から外へ出ると、いつものパターンの、我ながら予想通りの、なぜかお約束通りの展開で、なんとなく入った時と景色が違う。おかしい。身体感覚的には北口へ出たハズなのに、なぜ違う!! 北口ではないのだけは間違いない、という事だけは分かった。東西南北のどこの出口だ、ここは。方位磁石は持っているけど、自力で北口へ行きたい。


こういう時には太陽を見て出直そう。あらゆる道で数限りなく迷ってきた私も、外国では真剣度が違う。どうやら西口に出てしまったらしい。惜しい!! 右回りに行けば、次の角で北口へ行ける。行けると思うのだけれども・・・左回りに目的地があるような確かな感覚がある。なんとなく左回りで行きたい。左回りが私の事を呼んでいる気がする。身体が左回りに進みたくて落ち着かない。右回りか。左回りか。委ねてみるわ、ゴーストの囁きに(草なぎ少佐風で)。というワケで、太陽よりも自分のゴーストを信じて左回りへゴー!!



くっそ〜、違ってた!! 方向音痴を自覚しながら、どうして自分の直感に自信があるんだろう。うーん、我ながらさっぱり分からない。感覚で行っちゃうからだよ!! 右回りに行けば次の角で北口に戻れたのに、いちいち反対方向を選んでしまう方向音痴の哀しい性。ぐる〜り、ぐる〜りと1周しました。


出口を間違えたとしても、最初の角を曲がった時点で違うと気がついて引き返すだろう。と、考える人に言い訳をすると、バイヨンの一辺400mは、一般的な鉄道車両の20両分の長さ。東西南北のどの角度も似た光景で、角を曲がった時点では門は見えないのだ。周囲に目印になるような建物もなく、門の近くまで行かなければどの出口か分からない。フツーに迷うんだって。