紀伊半島09 高野山「金剛三昧院」

高野山では宿坊に3泊した。祝・初宿坊!料金でここに決めた「金剛三昧院(こんごうさんまいいん)」は、素泊まりが約6,000円、最安2食付きプランも9,000円前後と、高野山の宿坊の中では1番お安いところ。しかも高野山の宿坊で唯一世界遺産があるのだ。いいじゃないか。いいじゃないか!


いやいや待て待て落ちつけ!世界遺産があって料金が1番安いなんて超危険な気配。立地が不便とか、相当のオンボロとか、精進料理がイマイチとか。 全然大丈夫。全然問題なし。全然心配無用。場所は町の中心部のバス停から少し奥に入ったところ。どこに行くにも便利で、観光客の声も聞こえない。コンビニが近いのも嬉しい。建物は古いものの清潔で、トイレと洗面所はピッカピカ。精進料理は朝晩全品いちいち美味しい。お坊さん達は親切丁寧で気持ち良く過ごせた。


  
難点というほどの事ではないけど、客室までちょっと歩く。階段を下りて上って、廊下を歩いて右へ左へ!となるので、足腰弱った高齢者向きではないと思う。あと、出入り用の裏口の扉が全開で、雨の日にも通路の窓が開いていて寒い。


シルバーウィーク期間中は全日全料金プランで満室。他の宿坊も空いている部屋は恐ろしく予算オーバー(3万円とか)のため、山の麓の民宿を押さえで予約してキャンセル待ち。この時で出発3週間前。毎日、毎日、毎日予約サイトをチェックして、割と早く素泊まり1室の空きが出た。すぐさま予約。あと2日分。


その後は全然空室が出てこない。なぜー!大型連休を舐めてた。もうダメか。正直、キャンセル待ちがもっと出るかと思っていた。2日間は民宿でいいか。宿坊高いし。と思いつつ、やはり高野山に3泊したかったので、粘って、粘って、ギリギリまで粘って、出発1週間前になってようやく3泊全部の予約が完了。素泊まりでも食事つきでもどっちでも可の気持ちでいたので、2泊は2食つき、1泊は素泊まり。素泊まりでも3,000円で夕食を予約できる。私は申し込まなかった。


で、総部屋数が多いのでもの凄く混雑しているかと思ったら、空き部屋だらけ。宿泊者のいる部屋前の廊下の電気が点いているので分かる。中年夫婦と女性客が多く、3日間とも1日50人くらいかなと思う。あまり予約を受け付けていない感じ。というワケで、土日祝イベント期間大型連休中のご予約はお早めに。


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「金剛三昧院(こんごうさんまいいん)」
〒648-0211 和歌山県 伊都郡高野町高野山425


初宿坊に超緊張。ドキドキしてきた!
社務所ならぬ“寺務所”の人の案内でチェックイン。一般の旅館やホテルと違う手続きなどはなく、住所の確認をしただけで終わり。一般客が泊まる宿坊は別棟なので、一度中へ入ってしまえば旅館と変わらない。部屋に鍵がなく、金庫もないのでそこだけ用心するくらい。



24時間出入り出来る裏口が便利。これが夜まで開けっ放し!外出の時にいちいち寺の人に声を掛けたりとかせず気楽でいい。



自販機もある!



御朱印掛け軸、カッコイイー!


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洗面所はお湯が出るし、トイレはウォシュレット。映画「ファンシイダンス」のような昭和のトイレじゃないので、膝が悪い人も痔の人も大丈夫。朝晩かなり寒いので便座が温かくて嬉しい。宿坊内では朝のお勤めの時以外は浴衣で出歩ける。


旅の話と共に映画お勧めコーナー

ファンシイダンス [DVD]

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前半はちょっと退屈だけと後半が好き。



お着き菓子は3日間とも同じ。奥の院の霊石をモチーフにした「かさ國」の焼饅頭。甘さ控えめの餡が舌でほろり溶けて幸せな後味。美味しい!


 
客室から中庭が見える。


■浴場
 
確か16:00〜朝まで利用可。リンスインシャンプーと石鹸が置いてある。カランのお湯が熱湯か!というくらい熱い。そして水は恐ろしく冷たい。浴槽が一般的な公衆浴場より15cmくらい深かった。正座してかかとを立てて顎まで浸かるくらい。



貸し出してくれる傘。他の宿坊の傘も同じように、派手な色に寺院名がババーン!と目立つ。


■多宝塔
   
西暦1223年(貞応2年)、源頼朝・実朝の御霊を供養するため、頼朝の妻北条政子により建立されたもの。



(300円程)って。



多宝塔の周囲を取り囲むように配置されてる筒。スプリンクラーかと思ったけど、なんだこりゃ。


重要文化財建造物・世界遺産

日本の伝統的な倉庫の形式・校倉(あぜくら)造りの経蔵。鎌倉時代に作られた例が少なく貴重らしい。経典高野版の版木、金剛三昧院の版木約500枚が収蔵されていた。10月にご開帳とのこと。惜しい!


■お楽しみの精進料理。全品もれなく美味しい。

1日目の夕食
抹茶胡麻豆腐、天麩羅、五目豆、お新香、野菜巾着鍋で白味噌、瓜の煮物、刺身蒟蒻、茄子の煮浸し、手鞠麩のお吸い物、メロン



2日目の夕食
胡麻豆腐、お新香、五目豆、天麩羅、うどん、山菜のお浸し、金平牛蒡、煮物、手鞠麩のお吸い物、柿


■宿坊の朝
06:15 朝勤行(あさごんぎょう)の案内放送がBGMと共に流れる。6時半から始まります。本堂へお越しください。6時半から始まります。本堂へお越しください。6時半から始まります。本堂へお越しください!と、6時半まで繰り返される。


06:30 3日間とも各30人くらい集まっていた。椅子も用意されている。読経の途中から、宿泊客はお焼香。法要みたいな流れ。途中で「前方にお札をご用意しておりますので、願意を書いてください。」と、促される。えー、急に言われても何て書くかなー。また漢字が書けないと恥ずかしいなー、などと心配しながら薄暗い本堂の端まで行くと1通1,000円。金、取るのかよ!と内心ツッコミを入れて素通りで。


06:50〜07:00 お経を唱えてる間に、宿泊者は本堂と普段入室できない愛染明王像を見学しながら説明を受ける。
 
朝のお勤め時以外と一般参拝客は外からガラス越し。


07:10〜07:30 住職のお話。耳がちくわなので余り覚えていない。寺の宝である何とかって有名な人が描いた20枚くらいの襖絵を、3年で1億7千万円かけて修復したところ、国が保管するのでレプリカを作ってそれを飾ってください、その費用も自分たちで支払ってくださいと言われ、丁重にお断りしたけどしつこいんですよ。などと、とても穏やかな口調でかなりお怒り、とか。


高野山の大学では、単位が充分でもお大師さまの月命日である21日に、奥の院にお参りしないと卒業はできない。誰が来ているか毎月チェックしている、とか。ホントかよ!雨が降っていた日の朝には、雨の日にはお大師さまが高野山にいるのでありがたい日ですよ、という話とか。ソレ、雨の日の結婚式の挨拶みたいだけど、とか。お線香は五感なので、香りの良いものにして下さい、とか。そんな感じで。


07:30 朝食。食事つきの時には、お勤めの間に布団を片付けて朝食の用意がされていた。食事なしの日には出かけるまで布団は敷きっぱなし。


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すぐ近くに熊野古道小辺路