父、天然ボケ3連発

先週末、実家へ行ってきた。某イベントで実家の果物を毎年販売していてその手伝い。昨年は、袋詰め作業で忙しい最中に父が、「夕食は、食べほうかい(放題)に行こう。」と言い出し、脳裏に浮かんだその豪快な飲食イメージに、笑いを堪えきれず腹が崩壊しそうだった。


到着早々に袋詰め作業に取りかかると、今年は収穫の際の処理が甘く、余計な手間がかかって全くはかどらない。「ちょっとお父さん。この穫り方はなに? ド素人か。もっとちゃんと始末して。」私は何様だ。すみません。ほんとすみません。父にはビシッと言わないといけないもので。


「すまん。それは俺が穫ったやつだ。」
しまったぁぁぁぁー!! 今年は専業農家の叔父が、助っ人で来ていたのを忘れていた。


甥が登校前に収穫したが手が足りず、別の農業イベントと重なり忙しい叔父が、収穫だけ手伝ってくれた。大変失礼な事を言ってバツが悪いので、世間話で誤魔化してしまおう。


私「今年の玉ねぎの植え付けはどうですか?」
叔父「俺は毎日3時に起きているから大丈夫だよ。」


なにが大丈夫なんだ!!


私「今日も3時に起きたの?」
叔父「なんで? 」


なんでって何だよ!! こっちが聞きたいよ。


私「だって3時に起きるって言うから。」
叔父「あー、起きた、起きた。ラジオを聞いてるよ。テレビは詰まらねえ。」


話の方向がまるで見えないんですけど!! 意訳するならば、玉ねぎの植え付けは順調。収穫作業で毎日3時に起きて、ラジオを聞きながらやっているよ、という事だな。ホントかよ!! そんなこんなで準備を終えて、イベント当日。


父、天然ボケ1
毎年、会場内の同じ区画で販売していたのに、今年は場所が違う。うちだけ農産物から離れてる。ていうか、隣は「くじ引きコーナー」。何故にくじ引きコーナーの隣!? 食品ですらないんですけど!! 念を押して父に確認してみたが、この場所で間違いないと言うし、荷下ろしを前に駐車許可証が見つからない。昨夜、封筒に入れてテーブルの上に用意しておいたのに?


黄色い紙が入っている封筒が目に入ったので「ここにあったよ。」と父に手渡すと、町内会のゴミ拾いのお知らせだった。いつの間にすり替えたんだ!! 結局、見つからなかった駐車許可証は何とかなったが、くじ引きコーナーの隣で販売準備を終えた頃、係員に「場所が違うんですが・・・」と申し訳なさそうに言われる。今年もいつもと同じ場所だった。やっぱり!!


父、天然ボケ2
売れたものを入れる手提げ袋が足りない可能性が出てきた。なんかもう、もの凄く足りない。父を掴まえて「家から持って来い。」と急いで取りに行かせる。父の事だからまたボケかました物を持ってくるかも、と一瞬考えたが、他の人間は手いっぱいなので仕方ない。ていうか、間違えようがないだろう。


あまりにも父が戻ってこないので、しびれを切らして姉が取りに向かう。暫くして、ようやく父が戻ってきた。遅いよ〜、手が足りないよ〜、袋がもうないよ〜。早く袋ちょうだい、袋。父もそうとう慌てて探してきたに違いない。3つの袋とも家庭用のゴミ袋だった。ゴミ袋かよ!! 50×70センチ、30Lってデカデカ書いてあるよ!!


父、トドメの天然ボケ3
父が試食用に1箱持ってきたと言っていた。「試食用のどれ?」・・・多分、目の前にある、この箱の事だろうとは思ったが聞いてみた。「そこに“試食”と書いてある箱があるだろう」と指を差す父。やっぱりこの箱の事だったか。だって、お父さん。この箱・・・



「誠食」って書いてあるけど!! 新撰組か!!


ちらみに本当にボケているんじゃなかろうか、と思うような出来事は、少なくとも20年前から当たり前のように言っていた。当時、この天然ボケぶりは末恐ろしいと思ったものだ。ともかく、トラブルもなくイベント終了。ご機嫌の父は、「夕食は、食べほうかいがいいだろう。」とホクホク顔で言ってきた。さすが、父。今年も私の期待を裏切らない。