9月鑑賞の映画

■『サンクタム 3D字幕版』-Sanctum- ★★★★


■『インシディアス』-Insidious- ★★☆


[ストーリー] ジョシュ(パトリック・ウィルソン) とルネ(ローズ・バーン) 夫婦は、3人の子どもと古い一軒家に引っ越す。直後から物が移動している事を不審に思っていたルネだったが、小学生の長男ダルトン(タイ・シンプキンス) がハシゴから転落し、原因不明の昏睡状態に陥ってしまう。意識が戻らないダルトンの自宅介護が始まり、その後も続く不可解な出来事にルネは神経を擦り減らす。耐えきれずに一家は別の家へ移り住むが、その家でも不吉な出来事は続いていたのだ。ルネはジョシュの反対を押し切り超常現象ハンターの2人(1人がリー・ワネル) に依頼し、彼らは霊媒師エリーズ(リン・シェイ) を呼ぶのだが・・・。ジェームズ・ワン監督、リー・ワネル脚本、オーレン・ペリ製作、103分


[コメント] 果たして怪現象の原因は、シャイニングか(家)、1408号室か(部屋)、ポルターガイストか(土地)、キャスパーか(幽霊)、オーメンか(息子)、同製作者のパラノーマル・アクティビティなのか!! 意外や意外、このパターンは珍しいのではないかと。思わず耳を塞いだ場面もあったほどのビビらせ大音響と、怪現象の大盤振る舞いで、一切合財包み隠さず出し惜しみなし。ヴィジュアル的には霊媒師のバーさんの顔が何者よりも恐い。ランタンを持って歩いて行くお化け屋敷と化す後半が、まったく違う演出なら面白かったかも。最後のジョシュはどちらか曖昧に終わる方が良かった。「SAW」のビリーが映るサービスシーンあり。



■『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』 -精武風雲・陳真/Legend of the Fist:The Return of Chen Zhen- ★★☆


[ストーリー] 1925年、日本をはじめ各国の思惑が入り乱れる上海。抗日組織に身を置くチェン・ジェン(ドニー・イエン) は、戦死した友人になりすまし、上海一の権力者であるリウ・ユティエン(アンソニー・ウォン) が経営するナイトクラブ「カサブランカ」へ潜入する。各国の要人が集う店内でスパイ活動を続ける中、美しい歌手キキ(上戸彩にそっくりスー・チー) と惹かれ合うが、彼女もまた秘密を抱えている事に気付く。


ある夜、曾将軍の息子(出番これっきりのショーン・ユー) 襲撃の現場に遭遇したチェン・ジェンは、公開中の映画「仮面の戦士」に扮して顔を隠し彼を救う。仮面の戦士の正体を突き止めようとする、日本軍指揮官であり虹口道場を率いる力石大佐(木幡竜) は、反日中国人の処刑リストを公開とともに、武道家の父・力石剛(出番一瞬、倉田保和) を殺したチェン・ジェンの行方を捜していたが・・・。アンドリュー・ラウ監督、105分


[コメント] 第一次大戦時、ヨーロッパ戦線に駆り出された中国人労働者たちの中に、『ドラゴン怒りの鉄拳』でブルース・リーが、その後もジャッキー・チェンジェット・リーが演じた架空のヒーロー、チェン・ジェンがいた・・・というオープニング。


祖国への帰還を誓い合う仲間が次々と命を落としていく中、チェン・ジェンの怒りのスイッチがオン!! ブチギレたチェン・ジェンは、物陰から勢いよく飛び出し猛ダッシュ。ドイツ兵スナイパー目掛けて、誘導ミサイルの如く突っ込んでいく。レーシングカーばりのコーナリングでキュ〜ンと急カーブし、弾よりも速く、降りそそぐ銃弾も当たりやしない。手にしたナイフはいちいち一撃必中、ドイツ兵に馬乗りになるやキツツキのように刺し続け、超絶スピードのカンフーで手当たり次第にブチ殺す。スクリーンにかぶりつきになる冒頭の数分間は最高の見せ場。この勢いで最後までやって欲しかった。日本軍人役でEXILEAKIRAが出演。


■『レイン・オブ・アサシン』-劍雨/Reign of Assassins- ★★★★


[ストーリー] 明朝時代の中国。顔を隠す転輪王(ワン・シュエチー) 率いる恐るべき暗殺集団“黒石”が、ミイラ化した達磨大師の遺体の強奪を目論み、所有していた張海端宰相の屋敷を襲撃、息子の張人鳳(グオ・シャオドン) 共々殺害する。伝説では、達磨大師の遺体を手中に収めた者は、武術界の覇権を握ると言い伝えられていた。混乱に乗じ、黒石最強の冷酷な女刺客・細雨(ケリー・リン) が裏切り、遺体を持ち逃げする。懸賞金がかけられた細雨は、イーター・ベアー(ジョン・ウーの娘) など次々に襲い来る刺客を倒し、「平凡な顔」への整形を願うが・・・。スー・チャオピン、ジョン・ウー監督、120分


[コメント] 美人がなんと勿体ない事を!! ・・・で、包帯が取れるとミシェル・ヨーへ変身だ。平凡な顔にして欲しいだけで、老けさせなくてもいいのに、と思ったか思わないか、都の片隅に家を借りてひっそりと暮らし初めてほどなく、素朴で心優しい配達人チョン・ウソンと出会い結婚。それから半年後。ある事件をきっかけに転輪王ミシェル・ヨーの正体に気づき刺客を呼び寄せ、“炎剣”の奇術師レオン・ダイ、“飛空針”のショーン・ユー、元死刑囚の血まみれ花嫁バー・ビー・スー(台湾ドラマの牧野つくし) らが迫る。


帰宅後すぐにミシェル・ヨーの年齢を検索したら48歳!! 若い!! 美肌すげー!! 過去と決別し新しい人生を切望するが、そうは問屋が下ろさないという「よくある話」なんだけど、恐るべき動きを見せる細雨の剣、魅力的なキャラクター、ベタなほのぼの恋愛、吊られてます!! のワイヤーアクション、レオン・ダイの炎まみれの死闘に笑って、まさか誰が予想できようか!? のびっくり仰天オチ、などなどクライマックスの対決まで大いに盛り上げる。


夢枕獏の小説でも空海のミイラ遺体を巡る争奪戦の話があったけど、達磨大師の遺体を欲する転輪王の切実な目的には、座席からズリ落ちかけた。手下もびっくりだ。達磨大師の遺体はうやむやのまま話がどんどん進むので、若干ワケが分からなくなったものの、まー、そんな事はどうでもいいって事で。ここ一番というところで、チョン・ウソンショーン・ユーの顔が似ていて分かりづらい。細雨の師であり恋人でもある坊さんのストイックな愛、石橋の話、麺を食べる場面、春巻きを食べる場面など、静かな演出が大人心に沁みた。


■『グリーン・ランタン (3D日本語吹替え版)』-Green Lantern- ★★★


[ストーリー] 数十億年前、不死の種族が宇宙の秩序と均衡を目的に創設した、宇宙警察機構『グリーン・ランタン』。彼らのパワーの源である宇宙最強の武器「パワーリング」が、<強い意思を持ち、恐怖心を克服する勇者>だけを選び出すのだ。“ガーディアンズ”(長老会) の導きにより、惑星オアを拠点に全宇宙を3,600のセクターに分け、グリーン・ランタンを各セクターに1人ずつ派遣し、宇宙の平和は保たれていた。しかし、無人惑星に封じ込められていた邪悪な敵パララックスが解き放たれ、攻撃を受けたアビン・サーは致命傷を追い地球に不時着、自身の後継者を捜すようパワーリングに命じる。


亡父と同じ戦闘機テストパイロットのハル・ジョーダン(ライアン・レイノルズ/声:松本保典) は、瀕死のアビン・サーの元へ飛ばされ、戸惑うままに地球人初のグリーン・ランタンの一員となる事を誓う。パワーリングとリングにエネルギーをチャージするランタンを受け取り、惑星オアへ呼ばれたハルは、心に思い描いたイメージを具現化するパワーリングの訓練を受けるが、グリーン・ランタンを率いる戦士シネストロ(マーク・ストロング) に、恐怖心を見抜かれ逃げ出してしまう。その頃、アビン・サーの遺体を回収した極秘施設で、彼の体液に感染した生物学者ヘクター(ピーター・サースガード) の肉体と精神に異変が起こり始める。人々の“恐怖”を吸収し増殖していくパララックスが地球へ近づいた時、幼なじみで恋人のキャロル(ブレイク・ライブリー/甲斐田裕子) や地球の人々を守るため、ハルは戦いを決意するが・・・。マーティン・キャンベル監督、114分


[コメント] 米タイム誌選出「夏の大作映画ワースト20」の堂々11位にランクイン!! 残念ながら10位に入るほどのインパクトはなかった。パララックスが簡単に逃げ出せる状況もメチャクチャだけど、様々な種族の集うグリーン・ランタンの、役名のある3人以外の容姿があまりにもいい加減でウケた。彼らの精鋭部隊ですら成す術なく倒されていく、強大な敵の地球襲来において、とある倉庫の中と米国都市の通りの一部分の被害だけで済んだ、スケールの小ささに驚愕必至。全宇宙の崩壊を招く壮大な危機を前に、ちょっと減って3,590人くらいのグリーン・ランタンたちの出る幕はなく、修行半ばで逃げ出したポッと出の新人グリーン・ランタンのハルがたった1人で立ち向かう。


卑屈なでこっぱち野郎と、超特大ドレッドヘア風の寡黙な怪物という敵は、3Dの効果も空しくチンケすぎた。ライアン・レイノルズは、サスペンスのチョイ役でお馴染みの西村和彦に見えて、ヒーロー映画の主役にどうなのよという感じ。イメージを物体化する能力に期待するところだけど、最初のキャロルを助ける場面こそ派手にやったものの、その後は驚くようなアイデアもなくパッとしなかった。脇役も活躍しない。ブレイク・ライブリーは、「ゴシップガール」のセリーナと同じ吹替えがむしろ逆効果。続編製作には監督交代の噂で、「インクレディブル・ハルク」のように、今作は無かった事にして仕切り直しを希望。


■『ライフ いのちをつなぐ物語』-One Life- ★★★


[内容] 「アース」「オーシャンズ」に続く、陸・海・空の動植物の生態に密着する、英国BBCのネイチャードキュメンタリー。おたまじゃくしを背中に乗せ、高さ10mの安全な木の上まで、幾度となく運び上げていくイチゴヤドクガエル。一生に一度だけ産卵し、孵化するまでの半年間を食事をせずに、卵を守り命を終えるミズダコ(吸盤うまそー)。立ちはだかるライバルどもを次々と投げ飛ばし、メスの元へと驀進するチリクワガタ(その後の顛末がサイコー)。 天敵が追ってこられない断崖へ逃れる幼いアイベックス(垂直か!! くらいの角度 )。我が日本からは、強い群れが占拠する温泉の傍らで、入る事を許されず寒さに震えるニホンザルが登場。マイケル・ガントン&マーサ・ホームズ監督。94分。


[コメント] 視力が20.0くらいになった気分になる鮮明な映像で、ここぞという場面をかぶりつきのベストポジションでバッチリ見せてくれる。動物たちが24時間密着取材にオッケーを出したのかと思うくらい、真上から、お腹の下から、あらゆる角度からスローで観られる「その瞬間」は、アクション映画のように興奮。魚が自分たちの口の中へ飛び込んでくるよう策を講じる、バンドウイルカの踊り喰いぶりがコワイ。身体は真っ赤っ赤ーなのに、太腿から足先まで青ペンキ缶に浸かっちゃったかと思うイチゴヤドクガエルが、青タイツを履いてるみたいでセクシー。劇中に3回は爆睡してしまった「オーシャンズ」のダイナミックな映像の方が面白かったと思う。寝てたんじゃないのか!! 日本版案内役の松本幸四郎松たか子と余韻をブチ壊すミスチルの歌は酷い。つーかもう、ナレーションは無い方がいい。