10月鑑賞の映画

■『エクスペンダブルズ』-The Expendables- ★★★☆


自らを消耗品“エクスペンダブルズ”と名乗る6名の凄腕傭兵軍団は、ソマリアでの人質救出作戦で成功を収める。リーダーのシルヴェスター・スタローンは、チームを危険に晒すドルフ・ラングレンを外す苦渋の決断を下し、彼らの溜り場となっている元傭兵仲間ミッキー・ロークの刺青店へ集う。匿名だがCIAのブルース・ウィリス(出番ココだけ) の仕事のオファーで、旧知で犬猿の仲のアーノルド・シュワルシェネッガー(出番ココだけ) とともに呼ばれたスタローンは、軍事独裁政権下の島国ヴィレーナへ偵察に向かう。


偵察といいつつ兵士をド派手に殺しまくり退散したスタローンは、一応、脳ミソも働いてるという所を見せて、麻薬利権の独占に絡むCIAの思惑を突き止め依頼を断る。しかし、将軍の娘でありながら反政府活動をしているサンドラ(ジゼル・イティエ) に心を動かされ、ドルフ・ラングレンを除く、ジェイソン・ステイサムジェット・リー、ランディー・クートゥア、テリー・クルーズとともに再びヴィレーナへ向かう。人質の救出を急ぐスタローンの前に、将軍の部下の大男スティーブ・オースチンが立ちはだかるが・・・。シルヴェスター・スタローン監督、103分。


・・・という話はあってないようなモノで、誰も複雑で深遠なストーリーなど期待していないという期待通りに、殴り飛ばし、蹴り飛ばし、撃ち殺し、斬り殺し、派手に爆発、派手に破壊、派手に炎がゴーゴー!! 凄腕軍団といいながらも作戦は皆無の出たトコ勝負で、敵をねじ伏せ結果オーライのアクションが痛快。但し、ブチ殺されて当然の悪人を用意しないのはダメだと思う。スタローンの主役はオレ様、敵は皆殺し、パツキン美女を救い出し、やりっ放しで後はメチャクチャ、去り行く当人はご満悦というのはお約束で。


キャスト陣はワクワクするほど豪華だけど、実際の活躍は島へ向かう5人とスティーブ・オースチンだけ。ドルフ・ラングレンの扱いが酷すぎるが、続編にも出させて貰えそう。シュワルツェネッガーとスタローンの顔がゴムマスクみたいで怖い。「死の飛行」が見せ場だった、何故かいつもモテモテ役のハゲの色男ジェイソン・ステイサムの恋人役で、「ヴェロニカ・マーズ」のケンドールがチョイ出演。


■『TSUNAMI -ツナミ- <超>日本語吹替版』-海雲台- ★★★☆


毎夏100万人の行楽客が訪れる、釜山近郊のビーチリゾート・海雲台(ヘウンデ)。元猟師で漁協組合長のマンシク(ダチョウの寺門似) は、幼なじみのヨニ(松たかこと優香とケリー・チャンを足した顔) の父親の死に責任を感じ、思いを伝えられずにいる。彼の弟で海洋レスキューのヒョンシクは、溺れていた所を助けた美人浪人生(ヨニと似ていて区別がつかん) の強引なペースに巻き込まれ惹かれ合っていく。定職に就かないバカ息子ドンチュンを気に病む母親は、旅行の予定を止めて街に留まっていた。研究に没頭するあまり家族に去られた地質学者キム博士は、頻発する日本海地殻変動スマトラ島沖地震のデータの酷似に、時速800km、高さ100mにも及ぶ「メガ津波」の襲来を確信し、仕事でヘウンデを訪れていた元妻と幼い娘に避難するよう警告するが・・・。ユン・ジェギュン監督、107分。


ドラマ部分が長かったタイタニック状態で、津波が来るのは分かってるんだ!! 早く見せろ!! と、残り時間を気にし始めた頃にようやく、大した地震もなくナイアガラの滝みたいな波の壁がどかーんと発生。警報から到達までの僅か10分間、4組の親子や恋人たちが愛する者のために疾走する。いや〜、もう全然無理と思うとんでもない波がやってくる。


他人のために死ぬ人も、死にそうで死なない人も、お前は死んどけと思わせてしぶとい人も、間違いなく死ぬ場面でも死なない人も、一目で丸分かりのベタなキャラクター、ベタな笑い、ベタなメロドラマと、80年代の大映テレビドラマみたいな、超ベタな分かり易い展開。これをうんざりさせる事なく、妙に納得させてしまう韓国映画の力技。死にものぐるいで生に執着する人がいて欲しかったが、メガ津波の迫力は充分。舞台をひとつの街に絞ったのが良かった。「メガ津波〜? メガ津波〜? メガ津波〜?」の3連発おとぼけ予告で、私の心をがっちり掴んだショボイ役人おやじの出番は少なくて残念。


■『ガフールの伝説 日本語吹替え版』-Legend of the Guardians: The Owls of Ga'Hoole- ★★★


世界征服を企む『純血団』からフクロウの王国を守った『ガフールの戦士たち』の伝説に憧れている、メンフクロウのソーレン(声:市原隼人) は、愛情溢れる両親とプライドの高い兄クラッド、純真な妹の5フクロウ家族。まだ上手く飛ぶ事が出来ない兄弟は、両親の留守中に地上へ落ちてしまい、全てのフクロウを支配しようとする『純血団』にさらわれてしまう。


純血団の総統メタルビークと野心家の妻ナイラ(太陽の塔に似てる) は、さらったフクロウの子どもたちを月光マヒによって思い通りに操り、謎の金属を集めていたのだ。父に愛される弟に嫉妬し純血団の戦士となる道を選ぶクラッドを残し、同じくさらわれたジルフィー(川島海荷) とともに逃げ出したソーレンは、即興で歌を歌うトワイライトややんちゃなディガーと出会い、ガフールの戦士たちを探しに向かうが・・・。キャスリン・ラスキー原作、ザック・スナイダー監督、90分。


フクロウじゃなかったらどうって事のない普遍的な物語で、キャラクターの魅力如何にかかっていた映画の成否は、3Dで観なくとも、フクロウの毛並みがフワッフワ!! 刀鍛冶までやってのけるフクロウ職人が器用すぎ!! 鼻筋通った顔がちょいキモー!! と、まずまず魅力的。特に嵐の中で青い空と雨粒を背景に静かに飛ぶソラーレの美しさは、心を奪われてスクリーンに魅入る事間違いなし。最近では同じ展開だった「ダレン・シャン」よりよっぽど大人向けで面白い。


クライマックスでは、同監督の「300」ばりに、いちいちスローでキメてくるバトルシーンもカッコイイ。フクロウが鉄仮面つけて戦闘爪つけて重いだろうが。ガフールの戦士たちは出る事は出るが、活躍場面は全て主人公ソラーレの総取りで、魅力的なキャラクターが出ていたのに勿体ない。フクロウの見分けは付き易い。2Dなのに吹替え版しか上映していなかったが、市原隼人の声も合っている。