6〜7月鑑賞の映画

■『ノウイング』★★★★☆
1959年に埋められたタイムカプセルが50年後に開封される。女児の手紙に“選ばれた”少年ケイレブは、数字の羅列で埋め尽くされた紙を自宅へ持ち帰るが、父親で宇宙物理学教授のジョン(ニコラス・ケイジ) は、それがこの50年間に世界中で起きた、惨事の日付と犠牲者の数と一致する気づく。そこには、多数の死者の出る日付が3つ残されていた…。


吸引機で空へズボーッと飛んでいく「フォーガットン」くらいに驚愕する、謎の男の口からドカーンと波動砲が飛び出す爆笑場面もあるものの、大筋はシリアスなヒューマンドラマで好き。PG-12ではないけど、やたらと丁寧なショッキングシーンあり。


■『サンシャイン・クリーニング』★★★☆
かつてはチアリーダーのスターだったローズ(エイミー・アダムス)も、30代半ばの現在はハウスクリーニングの仕事で生計を立てるシングルマザー。高校時代のアメフトの花形選手で元ベストカップルのマックとは不倫中で、8才の息子は小学校を退学になり、実家暮らしで仕事が長続きしない妹ノラ(エミリー・ブラント)はバイトをクビ、頼るべく老父(アラン・アーキン)は安易な金儲けを目論んで危なっかしい。ある時、事件現場の清掃業で大金が稼げると知ったローズは、自分の望むもの全てを手にしている元同級生との惨めな再会を機に、嫌がるノラを無理矢理巻き込んで「サンシャイン・クリーニング」を起業する…。


思い描いていた未来と現実との絶望的な隔たりにもがくローズと、幼い日の母親の自死のトラウマを抱えるノラが、犯罪現場の清掃で、目を背けていた心の中を片付けていく。丁寧な前半から一転、クライマックスはやけにあっさりめ。「リトル・ミス・サンシャイン」と比べるともの足りないけど、浅はかなダメ姉妹の悩みは切実で、30〜40代の女子にピンポイント爆撃必至。


■『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』★★★★
発明家ウォレスはパン屋を開業し、忠犬グルミットの働きで仕事は順調。街でパン屋の主人を狙った殺人事件が続いていたある日、ウォレスはかつてのパンのCM女優で憧れの人パイエラと恋に落ちるが…。上映時間29分。シリーズ20周年を記念して、過去の3作品「チーズ・ホリデー(23分)」「ペンギンに気をつけろ!(29分)」「危機一髪(31分)」を同時上映。


いち早く事の真相に気づくグルミットが、能天気なウォレスを救うため大活躍。話はまーどうって事ないんだけど、表情豊かなキャラクターと温もり感が素敵すぎて楽しい。グルミット飼いてー!!


■『ターミネーター4』★★★★
人類の滅亡を狙う機械軍<スカイネット>が起こした核戦争“審判の日”によって荒廃した、2018年。2003年にサイバーダイン社に献体した死刑囚マーカス・ライト(サム・ワーシントン) が目覚め、記憶を無くしたまま民間人の少年カイル・リースと行動を共にする。一方、抵抗軍の指導者となる宿命のジョン・コナー(クリスチャン・ベール) は、過去に送り込まれて自分の父親となるカイルを探していた…。


観客に壊滅的な打撃を与えたT3で完全に終わったと思われた同シリーズが、T:SCCと本作で奇跡の再浮上。どの役をやっても全て同じ演技のC・ベールの出番は少なく、鍵を握る男マーカスがメインとなる展開は大正解。予定調和のクライマックスにもうひと捻り欲しかった。ていうか、毎回、毎回、毎回、毎回、思ってきたけど、スカイネットってホントバカ。


■『トランスフォーマー/リベンジ』★★★
2年前にメガトロン率いる邪悪軍団ディセプティコンを倒した、オプティマスプライム率いる正義の軍団オートボットは、米国組織ネストとともに余所の国まで勝手に出向いては、残党始末に破壊放題の大活躍。バンブルビーや恋人ミカエラ(ミーガン・フォックス) と離れて平凡な大学生活を送るサム(シャイア・ラブーフ) は、当時着ていた服に残っていたキューブのカケラに触れて以来、不思議な文字が見えるようになる。洗濯しようよ。やがて、海中で錆び付いていたメガトロンが復活を果たし、太古の地球に来ていたザ・フォールンは、ある目的を果たすため人類に宣戦布告する…。


善悪が曖昧で短絡的な答えの出ない昨今の映画の中で、善は正しく悪は皆殺しで正義の米国万歳!! の恥も外聞もない潔い脚本。ストーリーはバカバカしいけど、とにかく映像が凄くてカッコ良くて目が離せなくなる。


■『ウィッチマウンテン -地図から消された山-』★★☆
宇宙船がネバダ州へ不時着する。タクシー運転手のジャック(ザ・ロック様/ドウェイン・ジョンソン) は、大金を持つ浮世離れしたティーンエイジャーの兄(アレクサンダー・ルドウィグ) と妹(アナソフィア・ロブ) を乗せるが、兄妹が政府の特殊機関や謎の暗殺者に追われていると知り保護を決意。兄妹の目的のものが隠されている、政府によって地図から消された場所“ウィッチマウンテン”まで、2人を送り届けようとするが…。


暴力や破壊の場面がことごとく映らず、恐るべしディズニーと感心する事しきりの、子どもに安心安全なファースト・コンタクトもの。暗殺者の見た目は、まんまプレデターなのに兄妹が美形なのはこれ如何に。ザ・ロック様を始め、キャスティングはバッチリ。


■『ザ・スピリット』★
死を司る女神が唯一逃がし蘇生した元刑事ダニー(ガブリエル・マクト) は、マスクで顔を隠して“スピリット”と名乗り、互いに不死身の肉体を持つ宿敵オクトパス(サミュエル・L・ジャクソン) と死闘の日々。少年時代のダニーが想いを交わした美女サンド・サレフ(エヴァ・メンデス) が偶然手に入れた“ヘラクレスの血”を探すオクトパスは、スピリットの肉体を秘密を知っていると匂わせ、手下シルケン・フロス(スカーレット・ヨハンソン) とともに執拗に彼の命を狙う…。


駄作「デアデビル」の遥か上を行く魅力のない主役に早々に興味が失せ、珍作「ベオウルフ」の評価が上がる気の抜けたストーリーにあくび連発、ひとり空回りしてるサミュエル・L・ジャクソンの極寒ぶりに凍死しそうだった。