ネタバレ劇場「ハンコック」

※だいたいのところを思い出してオチまでテキトーに書いているあらすじです。


『ハンコック』-Hancock-
[監]ピーター・バーグ 

[脚]ビンセント・ノー ビンス・ギリガン

[出]ウィル・スミス/シャーリーズ・セロン/ジェイソン・ベイトマン

2008米/ソニー [上映時間] 92分


スーパーヒーロー、始めるぜ。


弾を跳ね返す不死身の肉体と怪力、ハイスピードで空を飛べるスーパーマン系のスーパーパワーの持ち主ハンコック(ウィル・スミス) は、道端のベンチでだらしなく酔いつぶれている横を、人々は顔をしかめて通り過ぎるロサンゼルスでは見慣れた存在。アルコール依存症で常に酒瓶を手放せず、逃走中の武装強盗犯のライブ映像を観た少年に揺り起こされるが、寝ぼけて朦朧としながらも酒瓶を探すロクデナシのその有様に「クズ」呼ばわりされてしまう。だいたい、働いていないのにその酒代はどうした。


犯罪を見て見ぬ振りをする事ができず渋々現場へ向かうが、飛び上がる時の両足の踏んぱりでアスファルトはごっそり抉り取られ、気ままな飛行のせいで鳥の群れや旅客機との衝突を間一髪で避け、道路標識を脳天でカチ割り弾き飛ばし、それが武装強盗犯を追跡中のパトカーのフロントに命中、次々と玉突き事故を起こしハイウェイは大混乱に陥る。おかげで、武装強盗犯たちの乗った車を空高く持ち上げ、ビルのてっぺんに串刺しにして逮捕へ貢献したのに、感謝されないばかりか、彼が出しゃばったが為の街の巨額の損害をなじられる。犯人を逃がした方がよっぽど被害が少なくて済むというものだ。


貧困国への慈善活動に積極的な企業の証となる「ピンクハート運動」を広げようと熱心なPRマンのレイ(以下、PRマン/ジェイソン・ベイトマン)は、莫大な無償支援の提案に総スカンを食った帰り道、渋滞のため踏切のど真ん中で立ち往生してしまう。後ろの運転手がせっかち野郎で、前も後ろもギッチギチ。シートベルトを外す間もなく、頑丈そうな貨物列車がPRマンの目の前に迫った瞬間、ハンコックがビュ〜ンと飛んでくる。たったいま渋滞で動けなくなったばかりなのに、案外、世間の動きにマメらしい。ハンコックはPRマンの車をポンと真っ逆さまに放り投げると、貨物列車に体当たりを食らわせ強引に停止させる。車をどかしたんだから、列車を停めなくても。


貨物列車はひしゃげて車両が次々と脱線し、放り投げられたPRマンの車をぶつけられた後続の車の持ち主たちは「車を持ち上げて飛ぶ事ができるのに」と、周囲の事を気にも留めないハンコックにブーイングの嵐。そんな非難の声などどこ吹く風の小バカにした態度と酒臭い息のせいで、よってたかって罵られる様にショックを受けたPRマンは、ハンコックを「彼は命の恩人」だと擁護し自宅へ招く。


壊れた車にPRマンを乗せて飛んできたハンコックは、自宅前のアスファルトに大穴を開けドカーンと着地。彼の顔を見た瞬間、驚愕と困惑の表情を浮かべるレイの妻メアリー(以下、PRマンの妻/シャーリーズ・セロン) を見て、ハンコックの心に不思議な感覚がこみ上がる・・・が、何だか分かんないので気にしない。PRマンの妻は幼い息子アーロン(以下、PRマンの息子/ジェイ・ヘッド) の前でもだらしない態度や口汚い言葉のハンコックを軽蔑し、家族から距離を取らせようとするが、人の良いPRマンは気づかない。美人なんだからどうでもいいが、シャーリーズ・セロンの尻周りはドカーンと重量級。


PRマンはハンコックに恩返しをしたいと考え、「ヒーローは皆から愛されなくてはならない」とハンコック改造計画を提案。YouTubeで流されているハンコックの映像を見せる。陸に上がった瀕死のクジラを海へブン投げてヨットと激突させひんしゅくを買う姿や、火災現場で人助けをしているのに、服が焦げ落ち裸同然の姿で子どもたちを突き飛ばしてアイスキャンディーのワゴンに割り込むなど、空回りしているその不器用さを直さなくてはいけないと説得。彼が市民に必要だと認められるため、検察の命令通りに服役するよう促す。


記者会見したハンコックは、いままでの行動を詫びて「心を入れ替えた新しい自分」を約束。自分がいままで刑務所へ送り込んだ犯罪者に囲まれ悪態をつかれても、1人の囚人のケツの穴に、別の囚人の頭を突っ込んで黙らせる。もう、スッポリと!! ケツの穴に首まで収まる画ヅラは、今年1番の名場面。


いつでも脱獄できる退屈な服役生活を嫌々ながら過ごすハンコックの元に、PRマンは頻繁に面会に訪れ、飛び上がる時と着地の際には地面に穴を開けないようにする、警官にはねぎらいの言葉をかけるなど、スーパーパワーを周囲に配慮して使うように、辛抱強くアドバイスを繰り返す。そして、息子は前妻との間の子どもで、妻が亡くなり途方に暮れていた時に今の妻と出会ったというおノロケまで話し、ハンコックも初めて自分に親身になってくれたPRマンの言葉に素直を耳を貸し、2人の信頼は深まっていく。短時間ながらも得意料理(※) を持参し「夫を裏切ったら承知しない」と面会に来てくれるPRマンの妻、ハンコックを慕ってくれるPRマンの息子、グループセラピーへの参加で、世界にたった1人という孤独にささくれた心はやすらぎを得る。
※握りこぶし大の肉の塊が入ったスパゲティ。食べにくいだろうよ。


やがて、PRマンの言う通りにハンコックの不在で街に犯罪が激増し、警察署長から協力を要請する連絡が入る。PRマンが「スーパーヒーローらしいコスチューム」と請け合う、ファンタスティック・フォー風ぴっちりヒーロースーツに身を包みハンコックが出動。穴を開けずに着地したハンコックは警官たちにねぎらいの言葉をかけ、負傷した警官を丁寧に救出。人質の身体に爆弾をつけさせた武装強盗3人が占拠している銀行で、ビルを建て替えなくても済むくらいに壊さずに犯人を1人ずつ拘束し、爆弾のスイッチを握るリーダーの手首を切断し、人質を全員救う。人々から惜しみない賛美を受けたハンコックは、初めて人に感謝される喜びを知る。


ヒーローとして存在を認められ、社会に受け入れられたハンコックは、PRマンとPRマンの妻と3人でレストランへ。彼らに感謝するハンコックは、自分の事のように喜んでくれるPRマンを見て、自らの過去を語り始める。なんと過去があったらしい。ハンコックには、80年前にマイアミで殴打され頭蓋骨を骨折した以前の記憶がないのだ。不死身なだけじゃなくて、年も取らないのかよ!! と、思って観ていたら、80年どころの話じゃなかった。搬送された病院で注射針も刺さらないまま怪我は完治し、スーパーパワーを備えていたと振り返る。ウルヴァリンのスーパーソルジャー計画みたいな話になってきた。退院の署名を求められたが名前を書けない彼は、「ジョン・ハンコック(※)と書け」と言われたこと、手掛かりとなるのはポケットに入っていた「フランケンシュタイン」のチケット2枚とガムだけだった。
アメリカ独立宣言に最初に署名した人。


病院を訪ねてくる者はなく、誰1人自分を知る者は名乗り出なかった・・・と苦悩を滲ませ話すハンコックを、PRマンの妻の表情が「その事は知ってるよ〜」状態だったが、ハンコックは気づかない。酔いつぶれたPRマンを自宅へ連れて帰ったハンコックは、PRマンの妻と唐突に見つめ合う。なんで!! そのままキス・・・した瞬間、冷蔵庫ごとPRマンの妻にドカーンとブッ飛ばされ、大きく穴ま空いた家の壁に呆然。ええええぇーーーーーーーーーー? どんな展開、どんな展開、どんな展開!?


翌朝、PRマンの妻の鋼鉄の肉体を実証したハンコックは、スーパーパワーを持つ人間が自分以外にも居た事を知り有頂天。ていうか、PRマンとのセックスはどうしてたんだ。PRマンにバレないようにと、ひと気のない場所に建つハンコックの自宅で話し合おうとしたが、彼女は何も語ろうとせず、わざわざ高層ビルが立ち並ぶ街へ飛んで行ってから取っ組み合いのバトルへ。ハンコック以上のパワーを持つPRマンの妻の暴走が、嵐を呼び、地割れし、周囲のビルの窓ガラスは片っ端から吹き飛んだ。せっかく銀行強盗犯を逮捕したのに、帳消しの大損害。PRマンの妻はサングラスで顔を隠していただけだたため、たまたま近くのビルにいたPRマンは妻の姿を見てしまう。もう、どんな展開、どんな展開、どんな展開!?


自宅へ飛んで戻ったPRマンの妻、ハンコック、茫然自失のPRマンが話し合う。PRマンの妻はハンコックと自分は夫婦だと告白。ええええぇーーーーーーーーーー? どんな展開、どんな展開、どんな展開!? 自分たちのようなスーパーパワーを持つ者たちは数千年前から存在していたが、仲間たちは皆死んでしまったと言う。生き残っているのは2人だけ。数千年ってアンタ、せめて百歳くらいの設定にしときなよ。


それ以上は語ろうとはしないPRマンの妻が、PRマンと息子を愛していると理解したハンコックは家を後にし、酒を購入しようとした店で強盗とやり合い、銃弾が身体を貫きその身体がくずおれる。不死身ではなくなっていたのだ。なんで、どうして、なんで、どうして、なんで、どうして!! 搬送された病院でも“折れてしまうはずの注射針”がチクッと刺さる。なんで、どうして、なんで、どうして、なんで、どうして!! ハンコック重態のニュースを観て病院に駆け付けたPRマンの妻は、ハンコックに全て話す。


スーパーパワーを持つ自分たちは、パートナーと一緒にいるとその力が失われてしまうのだ。ホントかよ!! わりと近くに居る時には変わりがなかったので、さっきの取っ組み合いの大ゲンカが原因と思われる。かつての仲間たちは皆、パートナーとともに普通の人間になり死んでしまった。80年前、スーパーパワーを失ったハンコックとPRマンの妻は映画を観ようとしていた時に暴漢に遭い、頭蓋骨をカチ割られたハンコックは病院へ。PRマンの妻はハンコックの命を救うため病院から離れ、スーパーパワーを取り戻したハンコックは記憶を失っていたものの即座に快復。PRマンの妻はマイアミから離れたこの地でPRマンと出会ったのだと言う。息子を連れてきたPRマンは妻の思いを知り、物陰からそっと見守る。


ハンコックに手首を切り落とされた元銀行強盗犯が、ケツに頭を突っ込まれた男と、突っ込んでむち打ち症になった男と3人で脱獄、病院を襲撃し銃を乱射。ハンコックと同じように不死身ではなくなっているPRマンの妻は、起き上がろうとするハンコックを制止し「あなたはこれからも人助けをしなくてはいけない」と、犯人たちとの間に立ち塞がり、数発の銃弾を浴びその身体が崩れ落ちる。


フラフラの身体で立ち上がったハンコックは、元銀行強盗犯に殴られ蹴られ、殴られ蹴られ、手当を受けていたPRマンの妻の心拍が停止、ハンコックが殴られ蹴られ、殴られ蹴られ、殴られ蹴られ、物陰から飛び出したPRマンが何だか分かんない金属板みたいなもんで、元銀行強盗犯の頭をガッツーンとブン殴り気絶。よろよろと起き上がったハンコックは窓から飛び降り、真下に停めてあった車のボンネットに激突。車に撥ねられそうになりながら必死に病院から遠ざかり、ジャンプしては飛べずに地面に激突を繰り返し、ついに大きく飛び去って行く。と、同時に、PRマンの妻の心臓が動き出す。


PRマンの妻がPRマンに歴史上の人物の話を聞かせていると、ハンコックから「空を見ろ」と電話が入る。月の表面にでっかく描かれたPRマンの推進するハートのマーク。なんと月まで行ってきた。共に生きる事は出来なくても、愛されていると知ったハンコックはニューヨークで犯罪と闘う。おしまい。