温泉バスツアーへゴー!! ん? オヤジ登場編

夏休みに温泉バスツアーに行って来た。2泊3日6食付きで19,980円。大丈夫なのか!! これは某バスツアー会社が毎月のように催行している「行きのバスは旅館到着後にその日に帰る客たちを乗せて戻り、帰る日にはその日出発の客たちを乗せてきたバスに乗る」という観光ナシの効率のいいフリープランのバスツアー。ちなみに、乗せる客がいない日でも、運転手は空のバスで迎えにきたり、空のバスでとんぼ帰りする。昨年も同じフリープランで川治温泉へ行ったが、到着時間も早く好きなように観光出来て良かったので、今年は源泉掛け流しがウリの「人気の秘湯・奥塩原元湯温泉3日間」コースに参加。人気の秘湯ってなんだ?


宿泊するのは、塩原温泉 秘湯の宿「元泉館」。公式サイトによれば、乳白色や緑色など3本の硫黄泉(自家源泉)のにごり湯の源泉掛け流しと、自家温泉を使用した「温泉おかゆ」が自慢だ。私は温泉マニアじゃないが、真冬に常温放置のコンニャクのような湿っぽい肌触りの冷え性で、源泉掛け流しの湯上がり後のぽかぽか持続時間の威力に驚いた僅かな経験から期待大!! 出発前に届いた案内には「秘湯の湯治宿のため一般的な温泉旅館と比較すると、施設において十分ではない面がございます」とある。十分でないっていったい?


寂れた古い旅館は格安バスツアーで慣れているので、温泉さえ気持ち良ければ気にならないし、食事も多分ショボイけどフリーの観光中に何か買っておけば大丈夫。3日間の予定は旅館から車で15分の日本一の足湯施設「湯っ歩の里」と同30分の場所にある「もみじ谷大吊り橋」他数カ所、昼食は予備を含め3カ所、甘味処3カ所+見かけたら随時入店(?)、立ち寄り湯2カ所とみっちり計画を立てて、気合い充分。


そして、当日。ねずみ花火の燃えかすのように干涸びたミミズの死骸が、乾物を戻すが如くぶよぶよにふやけていた冷たい雨。雨かよチクショー!! 7時40分の集合10分前に、立川駅のバスツアーの集合場所へ着くと、各社のツアーバスが6台も停まっており、バスツアー参加者オーラ大放出な人たちがわさわさ集まってる。オヤジはポケットがいっぱいあるチョッキと薄手のボストンバッグ、オバちゃんはストレッチパンツでリュック又は斜めがけの小さなバッグで、男女とも帽子は必須。


参加者名簿を添乗員に渡してツアーバッヂを受け取りバスへ。どうでもいいが、オヤジは必ずツアーバッヂを帽子につける。このツアー会社では予約申し込み順に前列から座って行く方式で、扉に貼られていた席順表を見ると私が最前列。初めての1番乗り〜♪ が、しかし!! 最前列はエアコンが1番効くため、夏のバスツアーでは寒くてツライ。諸事情により20分遅れて出発。すぐ後ろの席から、声のバカデカイオヤジが、やたらと「ん? ん? ん?」と聞き返している。オットセイかよ、オヤジ!! どうやら口癖だったらしい。奥さんの声は小さくて話している内容までは分からないが、会話の最後には必ず「ん? 」がつく。残念ながら乗り始めの頃は内容をメモしておらず惜しい事をした。


ヒマなのでいつもメモしている旅日記を開いてみる。
“朝食ビュッフェのジュースは1回のみ。サラリーマン風のオヤジが2杯目のジュースを取り上げられる”「金沢マンテンホテル」に泊まる方は注意。
“朝食ビュッフェにて。出掛ける支度を終えたジイさんが、「8時に出発だぞ」と隣の席で1人で食べている浴衣姿のジイさんを迎えにくる” この時、7時55分。


9時40分に羽生SAで25分間トイレ休憩。
何事もなく11時25分に、昼食の休憩場所で塩原の「林檎庵」に到着。アップルパイが名物だそうだ。食事が名物のところへ連れて行ってくれよ!! バスツアーで立ち寄るレストランは、何を注文しても代わり映えしないので、昼食オプションを申し込んだ。バスが到着してすぐ食べられるように用意されており、価格はちょっきり1,000円。従業員に案内されて、他に申し込んだ人たちと奥のスペースへ。いつもならツアー参加者の3分の1くらいはオプション昼食を食べるのに、今回は若い添乗員さんの案内の押しが弱く、4人しか申し込んでいなかった。「近くに他にお店はありませんでした」とか「店が狭いので注文すると時間が掛かるかも知れません」とか言わなくっちゃダメだよ〜。って、指導員か私は。


昼食はちらし寿司、みるみる温くなっていくうどん半人前、うどんがあるのに何故かミニ蕎麦、鰯のつくねや煮物、煮豆など。ちらし寿司をモリモリ食べながら、ポットのお茶をひと口飲んだら口の中が得体の知れない組み合わせの味になってモーレツにマズイ。なんだこりゃ。お茶はアップルティーだった。なんで!! 美味しいアップルティーだったけど、らちらし寿司には合わないだろうよ。フツーのお茶が欲しいと考えながら食べていると、静まり返った食堂で、隣の席のオバちゃんが旦那さんにポツリ「私のお蕎麦、おつゆが入ってないわ・・・」カピカピに乾いてひと塊になっている蕎麦を箸ですくってる。ぶぶーッ!! あまりの可笑しさに肩が震えるとこだった。悩んでないで交換してもらいなよ、オバちゃん!!


食事が終わったのでおみやげコーナーへ。チーズケーキと饅頭の試食を行ったり来たりで繰り返し、いい加減もう食べたくなくなるまで試食してから喫茶コーナーへ。チーズケーキは見たくないほど食べたのでアップルケーキ200円とコーヒー200円を注文。アップルケーキはいまどき珍しいくらい甘くて驚いたが、歯が溶けるような甘さではなく、甘みが口の中に残らず美味しい。コーヒーはモーレツにマズイが必須。アップルケーキがかなり甘いので、苦くて酸っぱいコーヒーで口の中を中和しないと食べられない。ホントかよ!!


1時間10分の昼食休憩を終えて出発。湯っ歩の里を通り過ぎた辺りから、名付けて「ん? オヤジ」のパワーが全開。ここはメモしておいた。
「ほら、ハニー牧場だ。蜂蜜だ。ん?」ん?
「湯けむり号(各温泉地へ行く無料送迎バス)だ。ん?」このバスに追い抜かれる度に、何度でも、何度でも、何度でも言う。
「ほら、湯っ歩の里だ。ん?」視界に入った物や名称が、脳ミソを通過せずに口から出る。
「この先にはもう、セブンイレブンはないんだ。ん? 」だから?
「ここは年寄りたちがダンスするような建物だな。ん? 」ホントかよ!!


ん? オヤジの会話から耳が離せなくなっている間に、元泉館の最寄りのバス停「元湯温泉口」が見えた。バスの時間はネットでチェック済み。旅館に着いたら早速観光へ行くのだ。旅館らしきものは見えないが、手回り品を片付けて降りる準備を始めると、何故かバスは山道を登っていく。うっそ、バス停まで少し歩くの? 今日、明日、明後日と観光に行くつもりなのに、という考えが遥か後方へ遠退く勢いで、バスはずんずんと坂を上がり続けていく。え? え? え? えーーーーーーーーー??? 細い山道をバスは進むよどこまでも〜♪ 後半へ続く。