7月の読書感想

『新訳チェブラーシュカ ワニのゲーナとおともだち』エドゥアルド・ウスペンスキー 平凡社140p 2002年12月★★★★


オレンジの箱の中で眠ってしまい、遠い南の国からやってきた、大きな耳と大きな目の正体不明の不思議な生きもの。すぐに倒れてしまう事から、ロシア語で「ばったり倒れ屋さん」という意味を持つ、“チェブラーシュカ”と名付けられたその生きものは、動物園で受け入れを拒否され、大きな店のショーウインドーで客寄せとして働くことになる。やがて、動物園で働く孤独なワニのゲーナが書いた「友達募集」の貼り紙を見て、彼の家を訪れる…。


先日映画を鑑賞。幼い心に哀愁背負ったチェブのしょんぼり顔に一撃ノックアウトで、図書館と古本屋しか利用しない私も即行定価で購入。映画の1話目の原作で詳しく描かれている。家(電話ボックス) にゲーナを招く事を思いついたチェブが、カップと、やかんと、コーヒーと、水を汲んで持って来てと頼み、火おこしから全部やってもらって、「おいしいコーヒーをご馳走できた?」と訪ねるエピソードが大好き。余計に大変なんだよ!! いいの、いいの。


チェブラーシカエドゥアルド・ウスペンスキー 小学館41p 2007年11月★★★


映画の1話目とほぼ同じ内容。言葉があっさり素通りしてもの足りないけど、挿絵が映画と近いので違和感はない。さすがにこれは子ども向きだった。でもいいの、いいの。 


『閉じた本』-A Closed Book- ギルバード・アデア 2003年9月★★★


4年前の交通事故で顔に酷い怪我を負い、眼球を失ったブッカー賞作家ポール。表舞台から姿を消し、社会と隔絶した暮らしを続けてきた彼は回顧録の出版を決意し、自分の“眼”となる口述筆記の求人広告に応じ面接に訪れた青年を雇う。


高慢ちきなポールの独白と会話のみで綴られる緊張感に期待が高まり、これから激しいドラマが展開か!?という山場に急降下。もはや、墜落炎上。相当惜しい。見返しのあらすじが「本作のほぼ全て」なので先に読まないように。


『片づけられない女のためのこんどこそ!片づける技術』池田暁子 ★


本来の目的を果たさない設備、異常なほど多すぎる棚、探しものが見つからず、全てにおいて時間が掛かってしまう散らかった部屋。あまりにも汚れが酷いため、手のつけられない状況が悪循環となり、毎日が宝探し障害物レースのような環境を続けていた著者が、ある出来事をきっかけに、ついに部屋が片付くまでの過程を綴った、「汚部屋」を「お部屋」に戻すお片づけコミック。


中盤までのあまりの呑気ぶりに、部屋にあるモノを全て捨ててしまえ!! とイライラしたが、掃除の面白さに開眼し、一気に処分していく後半の疾走感は良かった。