ネタバレ劇場 3月鑑賞の映画オチのみ

1)バンテージ・ポイント
2)ノーカントリー
3)ダージリン急行
4)ジャンパー


バンテージ・ポイント』-Vantage Point-
[監]ピート・トラビス 
[出]デニス・クエイド/マシュー・フォックス/フォレスト・ウィテカー/ウィリアム・ハート/シガーニー・ウィーバー/ エドゥアルド・ノリエガ 
2008米/ソニー [上映時間] 90分


1発の銃弾、8つの視点、たった1つの真相――


国際テロ対策の首脳会議が開催される、スペイン・サラマンカ。大群衆で埋め尽くされたマヨール広場に、テロ組織に強硬な姿勢を貫く米国大統領(ウィリアム・ハート) が姿を現す。ひと目で警備無理。1年前の大統領暗殺未遂の際に盾となり銃弾を受け、情緒不安定となっていたシークレットサービスのバーンズ(デニス・クエイド) は、無人のはずのビルの揺れるカーテンを警戒。彼を現場に復帰させた、チームリーダーであるケント・テイラー(以下、同僚/マシュー・フォックス) が、演台から離れて調べに向かうが、扇風機の風によるものだったと分かる。


中継バスにいたテレビ局ディレクター(老けすぎてて一瞬分からなかった、シガーニー・ウィーバー)は、群衆ばかりを映すカメラマンに注意。
市長の警護に来た地元の覆面警察官のエンリケ(以下、地元刑事/エドゥアルド・ノリエガ) は、美しい恋人(以下、恋人女)に頼まれて、チェックを受けずにバッグを持ち込み、広場の影で彼女に手渡す。
たまたまその様子を見ていた、妻と別居中で息子と離れて暮らすハワード(以下、観光客/フォレスト・ウィッテカー)は、どっから見ても緊張してる男と胡散臭い女にしか見えないのに、愛し合う恋人同士を切なく見つめ、ハンディカメラで撮影。
2人を録画している観光客に気づいたスアレス(以下、モロッコ人)は名前を偽って近づき、世間話で彼の注意を逸らす。


やがて、演説を始めた大統領がパン、パーン!! と狙撃された。死んだね。バーンズは狙撃直後に大統領に駆け寄った地元刑事を取り押さえるが、近くで爆発が起こり、観光客から撮影した映像を見せられ驚愕、避難するよう叫んだ直後に演台と背後のビルが木っ端微塵の大爆発が起こる。


そこから時間を巻き戻して、バーンズ、地元刑事、観光客、大統領視点から、狙撃までの23分間を4回繰り返し、その度に謎の答えを小出しにしていき、最後にテロリストと主要人物の奔走でクライマックスへ。狙撃直後に観光客のビデオを観たバーンズは、小爆発で皆が気を取られた隙に、恋人女が投げたバッグが演台の下へ入ったのを知り、避難するよう叫ぶが大爆発。狙撃された大統領は替え玉だったが、本物大統領がホテルの部屋で対応を検討中に、エントランスが爆破される。ホテル従業員から客室カードを受け取った元特殊部隊員が、警護本部の人間を射殺し、覆面して大統領を拘束。モロッコ人からの合図を受けた、怪しすぎるまでに汗をかいていたホテル従業員が自爆し、エントランスが爆発。


弟を誘拐されモロッコ人に従っていた元特殊部隊員は、本物大統領を恋人女へ引き渡すと、警護の服に着替えホテルから逃走。恋人女とモロッコ人は、大統領を救急車に乗せ発車。観光客は地元刑事をカメラを回しながら追いかけ、彼が刑事だったと知ってすぐに、元特殊部隊員に殺されるのを目撃。中継車でTVカメラの映像を見せてもらっていたバーンズは、カーテンを調べに行った同僚刑事が、警護の服でライフルらしき長さのものを隠したバッグを抱え、ひと目を避けている姿を見て、中継バスを飛び出し追いかける。


大統領が替え玉だと知っていたモロッコ人は、リモコンで扇風機を動かして注意を向けさせ、別の部屋に設置していたライフルを遠隔操作して、替え玉大統領を狙撃。弟が既に殺されていると知らず、引き渡し場所に指定された高架下に現れた元特殊部隊員は、恋人女を探してモロッコ人の計画通りにやって来た地元刑事を、彼らの仲間だと勘違いし、弟の居場所を教えないため撃ち殺す。もう、短気なんだから。その後、救急車に乗って来たモロッコ人を問い詰めるが、撃たれて死亡。


替え玉を狙撃したライフルを回収した同僚刑事は、元特殊部隊員を犯人に仕立て始末するつもりで、同じ警護の服に着替えて逃走。という計画も、TVカメラに映っていたというマヌケぶり。おまけに、バーンズの執念の大追跡で激突事故に遭い、理由も黒幕も教えないまま死亡。救急車の後部で反撃を試みる大統領は、運転手のモロッコ人をブン殴った方がいいと思うが、助手席の恋人女をブン殴り、モロッコ人に足を撃たれて撃沈。


この日の朝、ソフトクリームを買う幼い女の子の姿を、愛しい眼差しで眺めていた子ども好きのモロッコ人は、計画通りに高架下まで来たところで、救急車の前に飛び出した同じ女の子に気づきハンドルを切り、ドンガンドンガン横転、後続車が次々と追突する。
同僚刑事を追って、すぐ近くにいたバーンズは、負傷者の救出のため救急車の後部ドアを開き、大統領が居たためびっくらこいて、すぐさま救援を要請。一連の騒動で手の震えも止まり、失いかけていた自信を取り戻す。モロッコ人と恋人女は死亡。


目の前で起こった多数の死傷者の姿に自身も死を覚悟し、別居中の妻の留守電にメッセージを残していた観光客に、心配した妻から電話が掛かってきて、離れていた心が再び寄り添う。やたら群衆ばかり映していたカメラマンもテロリストの仲間だと思ったがそれっきりで、黒幕や大統領拉致の目的など分からないまま、おしまい。★★★★★


ノーカントリー』-Country for Old Men-
[監][製][脚]ジョエル・コーエン  イーサン・コーエン 
[原]コーマック・マッカーシー「血と暴力の国」
[出]トミー・リー・ジョーンズ/ハビエル・バルデム/ジョシュ・ブローリン 
2007米/パラマウントショウゲート [上映時間] 122分・R-15


純粋な悪にのみこまれる


1980年代のテキサス。メキシコ国境近くの砂漠でハンティングしていた、ヴェトナム帰還兵のモス(ジョシュ・ブローリン) は、銃撃戦の生々しい凄惨な現場を見つける。大量のヘロインを目の当たりにしたモスは付近を探しまわり、それがどういう事態を招くか知りつつ200万ドルの入ったトランクを自宅へと持ち帰る。スーツケースは捨てて、札束を全てチェックしなくてどーすんの!!


その夜、瀕死の傷を負っていた男の姿が脳裏にこびりつくモスは、水を持って銃撃現場へ舞い戻るが、メキシコ側の人間に見つかり逃走。その際に残した車の検査証からモスの素性がバレ、アメリカ側の組織もコインの表裏で殺しを決める殺し屋シガー(ハビエル・バルデム) を雇う。検査証のはぎ取られた車と、鍵を吹き飛ばされたモスの自宅を調べた老保安官ベル(トミー・リー・ジョーンズ) は、圧縮ボンベを携え警官と民間人を殺害した不気味な殺し屋(シガーのこと)が関わっていると考え、2人を追いかける。


2人の現れた場所には容赦のない死体が続き、ベルは実家に避難していたモスの妻を説得。独自のルールに従うシガーをコントロール出来ない組織のボスは、フリーランスの殺し屋を差し向けるが、あっという間に殺され、モス追跡を中断しやって来たシガーによってボスも殺される。実家へ避難させていた妻と義母を呼び出したモスは、2人を見張っていたメキシコ側に場所を知られ、ベルがやってくる前に現場にいた全員が死亡。ていうか、金はどうした!!


モスが最初に泊まったモーテルで、通風口へスーツケースを隠していたのを知るシガーは、同じく通風口にあったスーツケースを手に入れる。原作では現金の本来の持ち主である、シガーが素性すら知らないはずのメキシコ側のボスへ、経費を差し引いて届けていた。


1度決めた事は変えない自らのルールに従うシガーは、生死を本人に決めさせるコイントスをモスの妻に促し、映像はないが原作では殺害。


モスの妻を殺害してすぐ、一時停止を無視したヤク中(事件とは関係なし)と衝突事故に遭い「腕の骨が飛び出す」が、救急車が到着する前に姿を消す。一連のモスにまつわる殺人事件が全てシガーの犯行を確信するベルは、血と暴力にまみれ、正義も秩序も失われて行く国を憂い、年老いた自分には立ち向かえないと判断し、妻に引退を告げる。おしまい。★★★★


ダージリン急行』-The Darjeeling Limited-
[監][製][脚]ウェス・アンダーソン 
[脚][出]ジェイソン・シュワルツマン 
[出]オーウェン・ウィルソン/エイドリアン・ブロディ/アンジェリカ・ヒューストン 
2008米/FOX [上映時間] 104分


父の事故死以来、1年の間疎遠だったホイットマン家の兄弟3人が、仕切り屋の長男(オーウェン・ウィルソン) の呼びかけで、合わせて軽トラの荷台半分はありそうな父の遺品のスーツケースを携え、ダージリン急行で再会。直前にバイク事故に遭い、顔は包帯で覆われ、杖を突く痛々しい姿の長男は、「この旅で俺たちは家族の絆を取り戻す」と宣言。パスポートを取り上げ、食事は弟たちの分まで勝手に注文し、彼が決めたルールを従わせようとする強引さに、ちゃっかり者の三男(ジェイソン・シュワルツマン) は取りあえず口にはしないが、繊細な次男(エイドリアン・ブロディ) も黙ってはいられず、不満は募るばかり。


長男は今回の旅の目的である、家出した母親の所在を密かに確かめ(乗る前に確認しとけ)、次男は価値観の違いから妻との離婚を悩み、家族をネタに小説を書く三男は、かつての恋人を忘れられず、彼女の留守電チェックを繰り返す。


途中下車した町で次男が買った毒ヘビが、車掌に見つかり3人は列車から降ろされた。何故、毒ヘビを買う? 次男!! 重たいスーツケースを抱えて歩いていた兄弟の距離は少しずつ縮まっていき、流れの速い川で溺れる子どもたちを救出。小さな村へ招かれた彼らは、亡くなった少年の葬式で、家族の死と向き合う。そして、諦めかけた母親に会いに行く事を決意。「過去は変えられないから、これからの人生を生きて行きなさい」と母親に諭され、心が軽くなった3兄弟は、それぞれが過去をぎっしり詰め込んだ、重たいスーツケースを全て放り捨て、ダージリン急行に乗り込み帰途につく。おしまい。★★★★


『ジャンパー』-Jumper-
[監]ダグ・リーマン 
[原]スティーヴン・グールド「ジャンパー 飛ぶ少年」上下巻
[製][脚]サイモン・キンバーグ 
[出]ヘイデン・クリステンセン/サミュエル・L・ジャクソン/ジェイミー・ベル/ダイアン・レイン 
2007米/FOX [上映時間] 88分


行き先、無制限。


思いを寄せるミリーへのプレゼントを、同級生の嫌がらせで氷の張った湖へ放り投げられた、冴えない高校生デヴィッドは、お約束通りに氷が割れて水中に落下。誰もが彼の死を覚悟した時、デヴィッドは馴染みの図書館へ、迷惑な事に浴槽一杯分くらいの水とともザッパーン!! と出現。自分にテレポーティション能力があると知る。暴力的な父に怯え生きてきたデヴィッドはニューヨークへ向かい、銀行の金庫室から1億ドルを盗み出す。その不可解な強盗事件に、謎の男ローランド(サミュエル・L・ジャクソン) が捜査に乗り出していた。


それから7年後。自在にジャンプできるようになったデヴィッド(ヘイデン・クリステンセン) は、エジプトのスフィンクスの上で日光浴し、ロンドンのビッグベンから街を見下ろす悠々自適な生活をおくり、水害で救助を待つニュース映像に興味はない。


孤独と忘れられない思いからミリー(レイチェル・ビルソン) の元を訪れるが、突如、混み合う店に現れたデヴィッドの姿を、ジャンパーの青年グリフィン(ジェイミー・ベル) だけが気づく。ついにデヴィッドの素性を突き止めたローランドが、デヴィッドの自宅を襲撃。ビリビリ鋼の緊縛から何とか逃れジャンプしたデヴィッドは、両親をローランドに殺され、単独で闘いを挑もうと準備を進めるグリフィンと知り合い、世界を混乱へ導くジャンパーの抹殺を目的とする組織“パラディン”が存在し、両者は中世の頃から闘いを続けていたと知る。なんじゃそら!! その彼のアジトで、デヴィッドはパラディンのメンバーの中に、5才の時に家を出て行った母親(ダイアン・レイン) の写真を見つける。


ローランドを連れて僻地へジャンプしたデヴィッドは、置いてけぼりにし、10代の娘と暮らす母親の家を突き止めて再会を果たすが、パラディンのメンバーである母親は、デヴィッドが5才の時にジャンプしたため、殺す事が出来ずに家を出たと告白。デヴィッドはミリーは観光地へ向けジャンプし、バカップルを予感させ、おしまい。★★