ネタバレ劇場「フィクサー」

※だいたいのところを思い出してオチまでテキトーに書いているあらすじです。

フィクサー』-Michael Clayton-


[監][脚]トニー・ギルロイ 
[総]スティーブン・ソダーバーグ
[出]]ジョージ・クルーニー/トム・ウィルキンソン/ティルダ・スウィントン/シドニー・ポラック
2007米/ムービーアイ [上映時間] 120分


マイケル・クレイトン――
罪を消したければ、彼に頼め。


額とケツアゴに深くシワを刻み込み、虚ろな眼差しでポーカーに興じる、ニューヨークの大手法律事務所ケナー・バック&レディーンの弁護士マイケル・クレイトン(ジョージ・クルーニー) の携帯に、裏の仕事の依頼が入る。マイケルは、顧客やスタッフの公に出来ない問題を、裏で穏便に処理する“フィクサー(もみ消し屋)”だった。


休暇中の同僚から、大口の顧客が引き起こしたひき逃げ事件の処理を頼まれたマイケルは、画像が乱れたカーナビに苛立ちをぶつけ、バシバシと叩いてる、叩いてる、ひき逃げした車で自宅へ帰ってきていた、あんたバカ? な顧客の屋敷へ到着。そこにドラマのような鮮やかな勝利はなく、「地元の弁護士を雇いなさい」という気の抜けた、じゃなくて現実的な提案で仕事を終えたマイケルは、誇りを持てない仕事の空しさに苛まれながら車を走らせる。


家も人もいない夜明けの広原で、すれ違った車は1台だけ。やがて、放牧された3頭の馬に気づいたマイケルは車を停めて丘を上っていき、鼻の穴でけー、五百円玉が入りそう〜!! と思ったか思わないか、まったく思わなかったようで、馬の美しさに心を奪われる。と、突然、停めてあったマイケルの車が爆発、ちゅどどどどどどどーーーーーーーーーーーーーーーん!! 弾かれたように馬は駆け出し、炎上した車を見つめるマイケルは呆然と立ちつくす。


その4日前。警官一家の出身で元検察官のマイケルは、事務所の創立者であるマーティ・バック(以下、創立者/シドニー・ポラック) にフィクサーとして重宝がられ、かつての弁護士職に戻るタイミングを失っていた。出世も実績もない裏仕事にうんざりし、副業で始めたレストランも、店を任せた従兄弟がアルコール中毒で失踪し、厨房機器を二束三文で処分しても尚、ヤバイ筋からの借金は7万5千ドルも残っている。自宅はポーカーの負けで銀行の抵当に入っていた。4日後にポーカーしてる場合か!! マイケルの乗るベンツも事務所のリースで、しかも4日後にはちゅどどどどーんだ。


別れた妻の新しい家庭で暮らす幼い息子(以下、息子)を学校まで送り届け、1週間で金を用意出来なければ相当ヤバイ事になるマイケルは、それどころじゃないっつーのに、巨大農薬会社U・ノース社に対する3000億円の集団訴訟でU・ノース社の弁護を担当している、事務所のトップ弁護士アーサー(以下、友達弁護士/トム・ウィルキンソン) が、原告との大詰めの協議の席で錯乱状態となり、全裸で駐車場を走った、と知らされる。留置所にブチこんどけ!! 撮影していたビデオには、原告団の中の若い娘(以下、原告娘)に好きだ、愛してると絶叫し、次々と服を脱ぎ捨てて行く友達弁護士の姿が映っており、マイケルは彼を引き取りにウィスコンシン州ミルウォーキーの警察署へ向かう。こんな問題まで守備範囲。


いい加減にしろよ変態オヤジと思いきや、ストレスで双極性障害を患い、薬を服用すれば問題はない友達弁護士は至極冷静で、マイケルは真実を知り良心の呵責に耐えきれなくなった彼が、正義のためにU-ノース社を敗北に導く決定的証拠を掴んでいると知る。そうは言っても全裸になっちゃ変態だ。


マイケルは、U・ノース社の社内チーフに抜擢されたカレン・クラウダー弁護士(以下、農薬会社弁護士/ティルダ・スウィントン) の元を訪れ、友達弁護士は事務所の訴訟担当のトップだから任せとけ、薬を飲めば大丈夫!! と説明するが、早急に手を打つよう要求されてしまう。なんたって全裸だから。農薬会社弁護士は17年も事務所にいて共同経営者になっていないマイケルを見下し相手にしない。


そして、マイケルが探していた協議の席で消えた友達弁護士のバッグから、彼が訴訟妨害を企てていると知った農薬会社弁護士は、事態を収拾すべく、独断で始末屋を雇い友達弁護士を片付けるように命じる一方、インタビューを繰り返し練習し、脇の下に汗をびっしょりかくほどのプレッシャーを抑え、自分をコントロールし和解成功に向けて与えられた役割を演じる。淡い色のブラウスの時には、汗わきパットつきのババシャツを着なくちゃダメなのよ。


始末屋が友達弁護士の電話を盗聴した内容を農薬会社弁護士に報告し、農薬会社弁護士が創立者に「友達弁護士が原告と通じ、訴訟妨害を企てている」と伝えたため、創立者は激怒。事務所の合併前で神経質になっている創立者から「何とかしてこい」と、命じられたマイケルは、友達弁護士の家の前で待ち伏せし、バゲットを山ほど抱えて帰宅した友達弁護士に、軽卒な行動は止めるように言い聞かせるが、「要るか? 」とバゲットを1本くれたので、マイケルも受け取った。貰ってる場合か!! ちゃんと薬を飲んで、考え直すよう話を続けたものの、創立者から聞かされていた、「友達弁護士が原告娘と電話している」とマイケルが知っていた事で盗聴を疑い、説得は失敗に終わる。ていうか、自宅に戻っちゃダメだろ、友達弁護士。


翌日。友達弁護士が自宅を出た瞬間、始末屋男2人が、一時的に神経が麻痺するが検出されない何だか分かんないものを、喉にグッと押し付ける。友達弁護士はバスルームに運ばれ、薬の過剰摂取で自殺したと思わせるよう、足の指の間に、昨夜、忍び込んでいた際に撮影しておいた薬品棚にあるものと同じ薬を注射器でちゅう〜と注入。友達弁護士が痙攣し、息絶えた。注射痕って見つかっちゃうんじゃ?


原告娘と会う約束の直前だった事と、2人の電話は誰にも話していなかったと彼女から聞いた事で、友達弁護士の自殺に疑問を持ったマイケルは、刑事である弟ダルベルト(以下、弟刑事/デヴィッド・ザヤス)に頼み込み、証拠保全のため封鎖されている友達弁護士宅への侵入するため、封鎖シールを1枚用立ててもらう。人のいい弟だ。


友達弁護士宅は整然としており、棚の上にはバゲットがどっさり。これだね。このバゲットの中に貸金庫の鍵が!! と、思いきや、バゲットは一切関係なく、マイケルが幾度となく息子から読むように言われていた本、『天国と征服』の赤い表紙に目が止まる。そっちだったか。ちなみに、友達弁護士もマイケルの息子から言われて購入。


本をパラパラと開いたマイケルは、3頭の馬の挿絵と、複数行に引かれたアンダーラインが目に留まる。冒頭の馬の伏線はこっちだった。そして、挟んであった1枚の領収書を見つけた時、見張っていた始末屋の通報を受けた警官が現れ、拘束されてしまう。通報が早い事にますます疑惑を強めたマイケルは、領収書の店へ行き、友達弁護士が依頼した冊子を見せてもらう。『天国と征服』とタイトルのついたノート大の赤い表紙の内容は、農薬会社弁護士が握りつぶした、U-ノース社の汚染被害の報告書だった。マイケルと入れ替わりに、始末屋の男が店へ入る。もっと用心してよマイケル〜。


マイケルが報告書を手にしたと知った農薬会社弁護士は、彼を殺すよう始末屋に命じ、原告団との和解を急ぐ。U-ノース社の不正の証拠を手に創立者のオフィスへ向かったマイケルは、事務所の安泰を望む彼から8万ドルの小切手を提示され、激しく心が揺れ動く。そのまま、報告書を見せる事なく、小切手を受け取った。


小切手で借金を清算したマイケルは、僅かに残っていた誇りを失い、地下ポーカーへ。これが、冒頭の場面。始末屋がマイケルの車に爆弾を仕掛けるが、カーナビに追跡装置を固定する前に、顧客のひき逃げ事件の処理を頼まれたマイケルが店から出てきたため、慌てて逃げ出しマイケルの車を追いかける。


画像が乱れるカーナビをバシバシ叩いて苛立ちをぶつけ、ひき逃げ男の屋敷を後にしたマイケルが、ひと気のない道で車を走らせている頃、始末屋の2人はマイケルの車の位置が正確に掴めず右だ!! 左だ!! 道がない!! と焦るばかり。どんなバカなんだか、友達弁護士を殺した時のような完璧さはどこいった。


マイケルの車と1台だけすれ違ったのが始末屋の車で、マイケルが本の挿絵のように佇む3頭の馬を見つけて車から下りて丘を上って行く。同時に、発信器が正確な位置を捉えたため、始末屋がスイッチオンで車が爆発、ちゅどどどどどどどどどどどーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!! こんな注目を集める殺し方してどーすんだ。


炎上する車に呆然としていたマイケルは、友達弁護士のように自分も消されかけたのだと知り、燃え盛る車内へ、腕時計やら財布やらを次々と放り込み、すぐさまその場から立ち去った。死体がないのにそんなもんだけ残してったって騙されないでしょ。が、しかし、遠くに火柱を確認した始末屋は仕事を終えて帰っていく。バカ。死体を確認しなくてどーすんだ、バカ。昨日、アル中従兄弟が謝罪のため実家に訪ねてきた時には拒絶したマイケルだったが、従兄弟に迎えに来てもらい受け入れる。


早急な解決のため、和解金が経営に影響を与えない額である事を、株主に説明していた農薬会社弁護士は、マイケルの姿を見て驚愕。2人きりの場で、マイケルは1000万ドルで今回の件を“もみ消す”事を約束し、追いつめられ焦った農薬会社弁護士も了承。その会話を携帯電話を通じて、近くで待機していた弟刑事が録音し、権利を読み上げられた農薬会社弁護士は重責から解放され、その身体が崩れ落ちる。その場を後にして、タクシーに乗り込んだマイケルは「50ドル分だけ」どこか走るよう運転手に告げ、ホロ苦い勝利の余韻に、少し笑う。おしまい。


凛々しいジョージ・クルーニーの宣伝ポスターと“罪を消したければ、彼に頼め”のコピーに、もみ消し屋が大活躍するスカッとカッコイイ映画を期待すると大きく外すけど、「ノーカントリー」より面白かった。ところで、冒頭で原題が出た時に、「マイケル・クライトンが原作だったんだ〜」と、主役の名前が分かるまで勘違いしてた。★★★★★