H社バスツアーの底は深い

帰って来たら報告しますと書いておいて、それっきりだった。8月5〜6日に上高地志賀高原を散策する、夕食つき1泊2日で1万円のバスツアーに参加してきた。


たまたま、その直前に実家へ行ったので、両親と3人でバスツアーの話になった。母もバスツアーが好きで、このコースでこの価格はデンジャラスとか、この価格のさくらんぼ食べ放題は、バス1台で木が1本だから、もう2千円高いのにした方がいいなど教えてくれる。ホントかよ? 母ちゃん!! で、唐突に就寝1回目は庭で立ちションでお馴染みの父が「長野の高原なら俺に任せろ!! 」ときた。何を? 10カ所は行った事があるそうだ。ていうか、バスツアーだからさ。「志賀高原、美ヶ原高原、えー、すが・・・まだら・・・ 」お茶をズズーッ。って、終わりかい。


観光は楽しかったのだが、長野市出身で大船で2度目の夏を迎えた友人が、東京は暑い暑いとバテバテだったので、長野はさぞかし快適に違いないと思いきや、高原の日差しは殺人的キョーレツさ。湿度が低いので日陰は涼しかったが、日向に出た途端にザクザク突き刺してくる。東京以上に暑いよ、コンチクショー!!


で、散策にはこれといって面白い話がなかったので省略して、19時に北志賀高原の「ホテル竜王」に到着。いつの間にやらデフレ脱却の大波がバスツアー業界に押し寄せ、今回はある程度、ていうか相当なところまで覚悟してたが、私たちが泊まる別館は、廊下の電気もついておらずどんより薄暗い。そらきた!!


部屋は古くエアコンもないが、6人部屋くらい広い。まあ、朝晩は涼しかったのでエアコンがなくても問題なかった。事前の案内で、タオル類や大浴場にドライヤーがないというのも、民宿レベルかよ!! と驚いたが、バス移動なので荷物になるという事もなかった。ここは学生の合宿などに使われる事が多いようで、収容人数が多く、体育館もあるらしい。


到着時刻が遅かったのですぐに夕食となり、案内板に従って食堂のある本館の方へ向かうと、唐突に青い電球が1個ぼんやりついているだけの下り階段が。何故、青!? ホラー映画の深夜の学校か、ここは!! しかも階段は年寄りが転んだら死にそうなコンクリート。ややややや、来たよ、来たよ、格安の気配が!!


どう考えたって客が通る通路ではないと思ったが、他に本館への行き方が書いてない。あんまり面白いのでビデオを撮りながら地下へ降りると、10メートル先の上り階段との間の通路が恐ろしいほどの真っ暗け。コワー!! おまけに、中央にうっすら水たまりが見えたので気をつけようと考える間もなく、スリッパがツッルーッ!! かかとが10センチは滑り、口から心臓が飛び出しかかるほどびっくらこいた。危うく死ぬトコだよ、コンチクショー!!


そろりそろりと滑るように危険地帯を脱出し、またもや薄暗い階段を上って、ダンボールや食器などが積み上がる廊下を通り抜け、別世界のように明るく綺麗な本館へ到着。別館と全然ちがう!! てかもう、さっきの通路を無事来れるのか? バスツアーの年寄りは。


食堂に入ると、バスツアー客がちらほら座ってた。いつの間に!! どうやら、靴を履いて別館から一旦外へ出て、本館の入口から来たらしい。さすがお年寄りだ。部屋番号の書かれた札の前に座ると鍋の支度があり、鶏肉が入ってる。ややや、肉だよ、肉!! 随分前の同社格安バスツアーで出て来た鍋には、白菜とネギっきゃ入っていなかったが、今回は鶏肉入り。つーか、汁が入ってないんですけど? すると、近所のオバちゃんのような仲居さんたちが、バカでっかい鍋を抱えて現れ、柄杓でスープをすくっては、客の鍋へ注ぎ出した。いやいや給食みたいな事になってきた。


他には甘海老や蕎麦、ぜんまいなど。チッ、やっぱりフルーツはないか・・・と、食べ始めてしばらく経った頃に、隣の席のオヤジが小皿にメロンを乗せて戻って来た。メロン? メロンがあるの? どこ? どこ? メロン、メロン、メロン、メロン、食堂の隅にオバちゃんが番をしているテーブルが見えた。メローン!!


すぐに取りに行くと、何故か牛肉とメロンがどっさり。オバちゃんが牛肉を持っていけ!! 遠慮すんな、どんどん食べなさいと勧めてくれるのだが、私たちの鍋は鶏肉だし、お代わり自由という話は無かったし「これはヤバイ」ような気がして、メロンだけ小皿に山盛りもらっといた。


細かい事は考えずに、バクバクとメロンを食べていると、メロンを持って来たオヤジとは反対側の席のオバちゃんが仲居を呼び、「ここまで(私たちの席を指差し)しかメロンが来てないんですけど? 」と催促してる。違う違う、私たちは格安ツアーなんだから、自分で取りに行かなくちゃ。と、これが、私たちを見た仲居さんはアチャー!! という表情に。

「お客様たちにはメロンはついていないんですよ」アチャーーーーーーー!!


どうやら、食堂の反対側にいる食べ放題の客たちのための、牛肉とメロンだったらしい。あ、やっぱり? おかしいと思ったんだよねぇ。ま、仲居さんも何も言わずに行ってしまったので、メロンは食べといた。いやー、牛肉をもらってこなくて良かった良かった。って、メロンはいいのか!!


と、まあ、今回のバスツアーはそんな感じでした。どんな感じなんだ。