抜歯、あっさり抜けた編

そんなワケで、抜歯に行って来た。
こんな日に限って、待合室には50才くらいの、サラリーマンと思われるオヤジ1人しかおらず、いつもは混雑していて待たせるクセに、これじゃすぐ私の順番になっちゃうじゃないのさー!! なんたって、この後に及んでもまだ、先延ばしにしたい私だ。ところで、このオヤジの尻ポケットから、垂れ下がっている肌色の携帯ストラップって・・・ウンコ?

オヤジが呼ばれたので、受付で販売している歯ブラシを見るフリをして、一緒に立ち上がって後ろに立ってみたら、やっぱりウンコだった。こんな真面目そうな顔したオヤジなのに、なんだってまた、ウンコを尻から下げてるか。流行りか? いや、どうだっていいんだけど。

ウンコオヤジが呼ばれてすぐ、私も診察室へ通されたのだが、室内の電気の半分が消えていて、患者は私だけ!? ウンコオヤジは通路を挟んだ反対側の診察室で治療するようで、こっちサイドに4台ある診察台には私1人きり。もしや、もしや、私の抜歯に集中ですかー!!

・・・てな事はなく、泣き叫ぶ男児が衛生士に連行されてくると、残りの電気も点いた。ただの節電かよ!! ビビらせやがって紛らわしいんだよ!! で、なんとしても診察台に座るもんかと踏ん張る男児が、のけ反って泣き叫んで大暴れ。数分後、男児のホラー映画のような絶叫ぶりに、どんな恐ろしい事をされているのかと見てみたら、まだ何もしてないよ、アンタ!! いや、気持ちは分かるよ。ホント、私も泣きたいよ。いや、泣きたいのは先生か。

そうこうしてるうちに、私の担当の先生もきて、もう、いきなり麻酔を2本打たれて、涙が出るほど痛かった。くー、痛いんだよ、麻酔が。毎度の事ながら、麻酔の麻酔をして欲しいよ。

で、麻酔を打って20分後、いよいよ抜歯体勢に突入。恐ろしさのあまり、手の平に汗をかいてきた。ガツーン、ガツーンと数回衝撃がきた後、道具を持ち変える気配がしたので薄目を開けて見ると、次はあの釘抜き。やっぱり!! 歯を挟み込んで、グイグイグイグイ引き抜きにかかる。麻酔で痛くはないけど、イメージ的に痛い、痛いって、痛いってー!!

ミシミシ、ミシミシ・・・

先生、先生、“ミシミシ”いってますって、先生ーー!! 先生が更に力を込めるー。

パキパキ、パキパキ・・・

パキパキって、先生、先生!! 歯が割れちゃうって、割れちゃうってーーーーーーーーー!!

『ハイ、抜けましたよ』

え? もう?

てっきりアゴがカクカクするまで、抜けないものだと覚悟していたら、ものの20秒程で抜け落ちた。別に見たかないが、先生が目の前に持ってきた歯は、勾玉のようなちょっと捻れたカタチ。「持って帰りますか」と聞かれたが「要りません」と即答。でもまあ、あっさり抜けてくれて、エライぞ、親知らず4号!!

出血もすぐに止まり、アゴもカクカクしてない。なんだ、簡単だったね、こりゃ。注意事項が書かれた用紙を受け取り、待合室で浮かれながら読んでみると、えーと、なになに? 本日は入浴しないでください。だー!! そうだった、そうだった。お風呂に入れないんだったっけ。だー、忘れてた。前回抜いた時に、もし4号を抜く時には、夏は止めようと思ってたのに!! このクソ暑い日に風呂に入れないって、どーするよ!!

でもまあ、抜けた、抜けた。あー、清々した。さすがにもうないから、親知らず。あー、終わった終わった。頑張った自分にデザートを買って帰ろうっと。なにも頑張っちゃいないが、フルーツゼリーと、コーヒーゼリーと、ヨーグルトと、さくらんぼを買って帰って、ラリラリホー♪ 全部食べちゃうよー。

で、2時間半後。デザートを食べる前に麻酔が切れて、モーレツにうずき出した。くー、痛いよう・・・。