未確認歩行人物

7月の間、日除けに使っていたすだれを捨てようと、ゴミ出し案内をチェックした。月・木曜日の燃やせるゴミの日の品目に、落葉・小枝・板は長さ50センチの束にして1回3束まで、“すだれはロープで束ねて”と書いてある。

ほーほー、月木ね。と、思ってから数日後。いい加減捨てるか。明日は月曜日なので出してしまおうとビニールテープを探す。恐ろしく汚れ放題なすだれを何とか束ね、最後にもう1度案内を確認すると「すだれ」の「す」の字もない。正確には「れ」だけ。

もしかして、もしかして、もしかして「よごれ」と「すだれ」を見間違えてるーーー!!?

すだれが束ねられた絵だと思っていたものも、よく見れば小枝。小枝が束ねられた絵の上に「よごれたラップは〜」と書いてあったものが、「すだれはロープで〜」と読んでしまうとは、悪魔が一瞬、目玉に乗り移ったに違いない。

危なかった・・・。危うくゴミ回収の人に『ルール違反です!!!!!!』とビックリマークだらけのシールを貼られるとこだった。もー、すだれは粗大ゴミだよ。

思い起こせば、今までも悪魔が乗り移ったか、未確認、勘違い、早合点、あわてんぼうさんっ、で人々に迷惑を掛けてきたような記憶が蘇って、きたきたきたきたー。

一番最近では去年の秋、花好きな友人がいるので、彼女を昭和記念公園のコスモスまつりに誘った時のこと。5月に誘った時は調べずに行った為、枯れはじめた大変寂しいポピーの姿に彼女も元気なく帰っていった。これじゃいかん、と去年はコスモス祭りの開花情報を公式HPでチェック。今年のコスモス畑の満開写真に今が見頃と書かれているので、善は急げ、思い立ったが吉日、すぐに来てと電話した。今回はまかせとけと鼻息も荒い。

が、またやってしまったか、私。

最初に見たキバナコスモス以降、どの花畑も一面の緑で花の気配がまるでない。いつも花の季節にわんさかいるカメラマニアもいないし、オバちゃん軍団もいない。どこも花が咲くまで後1ヶ月くらいはかかりそうだ。だって、だって、だって満開写真が出てたのに。ははは・・・もう枯れたとかね。ははは、ははは、ははは・・・

園内最大のこもれびの里は花だらけのハズ、と、無口になる彼女を励まし歩く歩く、歩く歩く。遠いんだ、こもれびの里がまた。

園内を走るパークトレインはガラガラで、 スタンプラリーをやってるハズの売店も休業。ヤバい。ヤバすぎる。そして最後の望みだったこもれびの里では、まばらに、ほんっとにまばらに花が咲いていて、写真を撮るのに付近の花を寄せ集めなくてはならなかった。132万本咲いているのではないのか。100本くらいっきゃ咲いてないぞ、コスモスまつり!!

ショボくれた彼女と私の家に戻り、満開だって出てたんだってばー!!!と、それ見ろ、今見ろ、早く見ろと彼女にHPを見せたところ、満開の写真はキバナコスモスで、その他数カ所の花畑、こもれびの里は全て「咲きはじめ」としっかり書いてあった。だって、だって、だって昨日からコスモスまつりなのに。ああぁ・・・

そして数年前の12月。歯医者通いをしていた私は、会社の仕事納めの日にコピー紙に乗ったおつまみも食べずに歯医者へ。治療は翌年に持ち越しとなり、お餅食う食う、テレビ見る見る、脳ミソがすっかり軽くなった代わりに体重が増えた頃、仕事はじめの月曜日。

何だかえらい忙しい日でみんな残業だったのだが、予約を入れていたので定時であがり歯医者へ急いだ。歯医者もその日からだったので、椅子が足りないほどの繁盛ぶり、満員御礼だ。

予約は7時だったのに、なかなか呼ばれない。初診優先なので、ちきしょー、みんな餅食い過ぎなんだよ、とイラついてると8時過ぎになってやっと私の名前が呼ばれた。治療室もいっぱいいっぱいで、座ってからも更に待たされる。あー、もう今日予約して大失敗だよ。

先生 「今日はどうしましたか?、痛みましたか?」
わたし、心の声(どうしたもこうしたも、去年の続きに決まってんだろーが。とっととやってくれ。)
わたし「いえ、全然痛くなかったです」
先生  「・・・」

ガー、ガリガリガリ、キーン、ゴォーーーー(バキューム)、ハイ終わり。チッ、もう終わりか。
待合室に戻るとまだまだ大混雑で、お先に失礼チャンチャカ チャンチャンチャンと会計へ。お金を払い終えると、受付のお姉さんは有無を言わせぬ強気の口調で言った。

「今日来て頂いたので、明後日の予約はキャンセルでよろしいですねっ?」

え、なんだって?
慌てて診察券の裏を見ると、私の予約日は明後日。今日じゃなくて、明後日!!
だって、だって、だって今日から会社だから。ほら、歯医者だって今日からだし・・・。

あああ、後ろに座る人達の視線が痛い・・・。