多めと言ったら、多め

唐突だが、豚肉はいつも宮城県の桃生(ものう)ポークというのを買っている。
美味しいので宣伝してみた。

で、いつも桃生を買っている肉屋に、数ヶ月前から店員に加わった年齢不詳のオバちゃんがいるのだが、私は彼女の密かなファンなのである。仮にPさんとしておく。

だいたいいつも200g買うのだが、量り売りなので注文したグラムとの近い数字で、これでいいかどうか聞かれる事になる。しかしこのPさんが担当になると、最初に乗せる肉からして100gは誤差というか、誤差じゃねぇだろう、と言うくらい違うので面白くてしょうがない。

毎日、肉ばかり測ってるんだから、目分量とか持った感覚で分かりそんなものだと思うのだが、200gを頼めば、320gくらいから始まり→ごっそり減らして150g→適当に戻して240g→またまた減らして185gという具合に、手に持った肉が行ったり来たりと、なかなか200gに近づかない。
というより、どの地点でも「それで結構です」の一言を待ってるようなが“間”あるのだ。

いつもこんな調子なので、Pさんの時は180g〜230gまでは覚悟しなくてはならない。今日はどれくらい違ってくれるのか、懐かしの番組「目方でドン」で、オーバーしたのも分からず、果てしなく商品を選び続ける人を見るような気持ちで、Pさんを楽しみにしているというワケだ。

先日、私の前に並んでいた女性が300gの豚肉を注文したので観察していると、『Pさん、そりゃ500gはあるよ!! 』とツッコミたくなるほど、量りにごっそりと乗せていて、笑いを堪えるのに必死だった。

確か630gくらいあったと思うが、常連客は心得ているのか、なんと「それでいいです」と購入して行ったので、余計に驚いた。心の広い人だ。

そんなPさんが最近、測る前に「多めですか、少なめですか」と聞くようになった。そういうのは、乗せてから聞くものじゃないか?

私が200g注文すると「多めですか、少なめですか」と聞いてきたのだが、220gでいいですか? とか、180gでいいですか? と聞かれるならまだしも、Pさんの多め少なめって、一体どのくらいなのか、全く想像出来ないのが恐ろしい。

どっちでも良かったので取りあえず“多め”で頼んでみたところ、相変わらず最初に乗せたのは150gくらいだった。“多め”と注文しているのに、それだけしか乗せないようなところが、さすがPさんだ。

Pさんが追加で3塊くらいを量りに乗せると198gになった。スゴイ、スゴイよ、Pさん!! 2gなんて、いまだかつてない誤差じゃん!! と、感動したのもつかの間、Pさんはあと2塊を問答無用で追加し、225gになった所で「これでいいでしょうか」と聞いてきた。いや、多めって言ったけどさ・・・

200g って最初に注文したんだから、198gでいいんじゃないの!? Pさん!!