残便事件

先日、多摩モノレールの駅のトイレへ駆け込んだ。切羽詰まっていたが、ウンコではない。
いくつか並ぶ個室の前には数人並んでいたものの、すぐに私の順番になり、出てきた女子高生と入れ違いに中へ入り鍵をかける。

『ウンコ臭え!!』

恐ろしくキョーレツな匂いが鼻の穴に飛び込んできた。
んもー、お前何食ってんだよ、女子高生!! などとイラつきながら便器を見ると、なんとそこには立派なウンコが残されていた。しかも、バナナ状ではなく、マンガで書かれるようなウンコで、渦は巻いてないが立体的だ。ああー、いかんいかん、感心してどうする。

そう言えば、人様のウンコを見るのは初めてだな、などと考えたのはほんの一瞬で、次の瞬間にはおケツを拭いたであろうティッシュが残されていない事に気付いた。ヤバイ。ヤバすぎる。

何度も流したけど、あまりにもウンコが立派すぎて、和式ではウンコだけが流れなかったに違いない。これでは違うトコへ入り直すしかあるまい。しかし、いま出て行って次の人に、このウンコが私のだと思われるのは不本意すぎる。

人の気配が無くなるまで出られないのか?? しかもこのド臭い個室の中で。いやいや、それよりも私は切羽詰まって緊急事態だったのだ。

ウンコを巡る複雑な思いが、0.2秒くらいの間、私の頭を駆けめぐる。しょうがない、取りあえず流してみる事にしよう。

ザッバー・・・流れるじゃねーか!!

あの悩みに悩み、匂いに耐えに耐えた数分間は何だったんだ。ちゃんと流していけ、女子高生!!